Written by M.Ken'ichi

足関節(足首)の捻挫を正しく理解する【前半】

整形外科

足首の捻挫について知りたい方
『足首の捻挫について知りたい。簡単に解説してほしいな。』

そんな質問にお答えします。
足首の捻挫には内反タイプ(足首を内側に捻る)と外反タイプ(足首を外側に捻る)がありますが、ここでは圧倒的に多い『内反タイプの捻挫』について解説します。

わたくし、現役の理学療法士です。以前、整形外科の病院やクリニックに勤務しておりました。今回、過去の勉強会でまとめた資料をもとに、一般の方向けに作成しております。時間があるときに眺めてみてください。やや長いので二部構成です。

前半の内容

  • 足関節(足首)の捻挫を正しく理解する
  • そもそも捻挫とは
  • 足関節捻挫はどんなときに起きるか
  • 足関節捻挫のときの足首の向きとは
  • 足関節捻挫でいたむ靱帯
  • 足関節捻挫の重症度について

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足関節(足首)の捻挫を正しく理解する

足関節 足首 捻挫
以前に比べるとだいぶ理解が進んだように感じますが改めて言います。捻挫を軽視してはいけません。『たかが捻挫、されど捻挫』です。足関節(足首)の捻挫に対する正しい知識を身に付けましょう。

そもそも捻挫とは

そもそも捻挫とは『靱帯や関節包といった軟部組織、関節軟骨や関節唇、半月板などの損傷』を意味しています。捻挫という言葉だけが先行して安易に考えている方もいますが、れっきとした『整形外科疾患』です。足関節捻挫の場合、その多くは『靱帯損傷もしくは靱帯断裂』です。たかが捻挫、されど捻挫と言ったのはこの事実を軽視しがちだからです。

足関節捻挫はどうやって起こるか

足首 捻挫 骨折 見分け方
もっとも多いのがスポーツ。特にバスケットボールやバレーボール、サッカーやラグビーで多い傾向です。いくつか例を挙げてみます。

  • ジャンプの着地で相手の足の上に乗ってしまう
  • 芝生や地面のくぼみに足をとられてしまう
  • 急激なストップ動作やカッティング動作で捻ってしまう
  • 捻挫が起こるのはスポーツだけとは限りません。生活場面にもたくさんの危険が潜んでいます。いくつか例を挙げてみます。

  • 階段を踏み間違えたとき
  • ハイヒールで歩いているときに捻る
  • 側溝に落ちる(わたしの例。記事を書いたきっかけです。)
  • 捻挫の場面は様々ですが、いずれも共通するのは『足首が内側を向いていること』です。たとえジャンプの着地で相手の足の上に乗ってしまったとしても、足首が内側を向いてさえいなければ捻挫は起こりません。

    足関節捻挫のときの足首の向きとは

    足関節 足首 捻挫
    足首が内側を向くことを『内反』といいますが、さらに危険なポジションが『内反+底屈』です。『底屈』とはつま先を下げたポジションのこと。内反に底屈が加わることで足関節はさらに不安定となり、捻挫の危険性が高まります。見るからに危なそうですよね。

    『内反+底屈』とは、ハイヒールで歩いているときに捻ってしまった状態がまさにそれです。歩行の際はくれぐれも注意しましょう。

    足関節捻挫でいたむ靱帯

    足関節 足首 捻挫
    足関節 足首 捻挫
    写真を載せてみました。靱帯の名前とだいたいの位置関係を整理しておくとイメージがしやすいです。受傷時、圧倒的に損傷されやすいのは『前距腓靭帯』次いで『踵腓靭帯』です。

    足関節捻挫の重症度について

    足関節 足首 捻挫
    足関節捻挫の場合、その多くは『靱帯損傷もしくは靱帯断裂』だと言いました。靱帯がいたむ程度によって、捻挫の重症度は3つに分けられます。

    Ⅰ度:前距腓靭帯の部分損傷、踵腓靭帯は正常
    Ⅱ度:前距腓靭帯の完全断裂、踵腓靭帯は正常 or 部分損傷
    Ⅲ度:前距腓靭帯、踵腓靭帯の完全断裂

    一般的に想像される捻挫とはⅠ度の状態でしょう。ちょっと挫いたとか、靱帯が伸びたとか言われるやつです。たしかに多少の痛みはありながらも、ほぼ問題なく動けることが多いです。これが軽視される所以です。実際は損傷されているのですが…。

    足関節捻挫は『内反』『内反+底屈』で起こりやすいと言いましたが、なんとなくイメージできるでしょうか。内反ポジションでは位置的に前距腓靭帯が伸ばされます。内反+底屈ポジションでは前距腓靭帯がさらにさらに伸ばされます。先ほどの写真をご参考ください。

    さて、前半はこれにて終了です。足関節の構造や捻挫の起こりかたなどについて説明しました。後半は足関節捻挫の症状や治療、予後について解説します。

    参考文献

    日本整形外科スポーツ医学会広報委員会:スポーツ損傷シリーズ, 足首の捻挫
    渡部欣忍:当直でよく診る骨折・脱臼・捻挫. 日本医事新報社, 2017.
    D W Stoller: MAGNETIC RESONANCE IMAGING IN ORTHOPAEDICS AND SPORTS MEDICINE 3rd EDITION. Wolters Kluwer, 2007.
    P. D’Hooghe:Return to Play After a Lateral Ligament Ankle Sprain. Curr Rev Musculoskelet Med (2020) 13:281–288