Written by M.Ken'ichi

【家族向け】代表的な認知症4種類とその割合|主な症状について

認知症

認知症について知りたい家族『 認知症ってテレビや雑誌でよく取り上げられているけど、それぞれの特徴についてざっくりでいいから知っておきたい。』

そんな質問にお答えします。
ここでは代表的な認知症4種類とその割合を紹介し、それらの認知症の主な症状について説明していきます。2025年における認知症患者の動向についても書いてみました。

※現在、認知症の専門医の下で勉強中です。ここでは認知症に関して得られた知見などを少しずつ公開していきます。

本日の内容

  • 代表的な認知症4種類とその割合
  • 主な症状について
  • 2025年における認知症患者の動向

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代表的な認知症4種類とその割合

認知症の割合
・アルツハイマー型認知症(67.6%)
・脳血管性認知症(19.5%)
・レビー小体型認知症(4.3%)
・前頭側頭葉変性症(1.0%)
・その他(7.6%)

このように考えてください。100人の認知症患者がいたと仮定します。そのうちの約68人はアルツハイマー型認知症、約20人は脳血管性認知症、約4人はレビー小体型認知症、約1人は前頭側頭葉変性症といった割合です。
※ここでいうアルツハイマー型認知症とは高齢発症型のアルツハイマー型認知症のことを示します。

主な症状について

認知症
症状といっても一概に言えません。というのもその方の性格や生活環境、病巣の違いや合併症の有無などが複雑に絡み合うからです。したがってここでは、認知症による主な症状について典型的なポイントのみを取り上げていきます。イメージしやすいように具体例を含めて簡単にご紹介します。

アルツハイマー型認知症

記憶を司る海馬という脳細胞を中心に異常タンパク質がごくゆっくりと蓄積されていく病気です。10-20年くらい経過すると、徐々に認知症の症状が出現してきます。純粋な高齢発症型のアルツハイマー型認知症の場合、ある程度典型的な経過をたどるため比較的理解がしやすいです。

・近時記憶障害(いわゆる物忘れ)
・注意障害
・遂行機能障害
・行動心理学的症状(BPSD)

近時記憶障害(いわゆる物忘れ)
‣ 聞いたことや伝えたことをよく忘れる、置き場所を忘れてよく探し物をしている、出来事自体をすっぽりと忘れる、必要時に予定や約束を思い出せないなどの症状が日常生活場面でみられます。ただし周囲の人たちは違和感や不自然さを感じるものの、生活で支障になるレベルではないので『 年のせい 』として見過ごされることが多いです。

注意障害
‣ 専門的には選択性注意障害、持続性注意障害、転導性注意障害、分配性注意障害の4タイプがあります。日常生活場面では気が散りやすい、集中力が続かない、逆に集中しすぎて周囲の声かけなどに反応しない、2つのことを同時にできない(電話しながらメモが取れない、食材を切りながら鍋の世話ができなくて焦がしてしまうなど)といった症状がよく見られます。計算ミスや誤字脱字といった、いわゆる『 うっかりミス 』が多いのも注意障害のそれに当たります。

遂行機能障害
‣ 遂行機能障害とは『 目標を決める → 目標に向けて段取りをする → 実行する → 状況に応じて適切に微調整をする 』といった一連の流れが障害された状態です。行動に計画性がなく場当たり的だったり、なにかと段取りが悪かったりといった状態です。抽象的な表現ですが、料理や着替えの場面において「 アレしてコレして、コレをしている間にアレをしよう 」といった一連の動きがチグハグになります。

行動心理学的症状(BPSD)
‣ アルツハイマー型認知症では被害妄想(特にもの盗られ妄想)や興奮(叫ぶ・悪態をつくなど)、易刺激性(些細なことでイライラしたり不機嫌になるなど)、抑うつ(気分が落ち込んで思考や行動、感情などに明らかに影響が出ている状態)、不安(妙に心配性であったり、ソワソワと落ち着かないなど)などの症状が多いです。BPSDにはかなりの個人差がありますが、激烈に強い症状が出る方は全体のごくわずかです。

※話が耳に入っておらず、結果的に覚えていない場合もあります。これは記憶障害ではなく注意障害による影響が大きいです。

脳血管性認知症

脳梗塞や脳出血、クモ膜下出血などの脳血管障害により突如として発症する認知症です。発症の背景には高血圧や高脂血症、糖尿病などのいわゆる生活習慣病、先天的な血管壁の脆弱性などが挙げられます。再発しなければ基本的に進行することはありませんが、再発を繰り返すようだとその分だけ段階的に認知症の症状が加わっていきます。

脳血管性認知症は病巣の箇所や初発か再発、重症度によって症状が大きく異なります。したがって運動麻痺や感覚障害、言語障害のみで以下のような認知症の症状が生じない方もいれば、様々な症状が積み重なってしまう方もいらっしゃいます。ここでは代表的な症状のみを取り上げることとします。

・注意障害
・発動性低下
・脱抑制

注意障害
‣ 症状自体はアルツハイマー型認知症による注意障害と基本的に同じですが、脳血管性認知症による注意障害ではある程度の改善が見込めます(初発 or 再発、重症度によって異なります)。

発動性低下
‣ 何もなかったときと比べて明らかに自発性や活発性が低下している状態。

脱抑制
‣ 深く考えずに衝動的に行動を起こしたり、他人に言わなくてもいいようなプライベートなことや傷つけるような発言をしてしまう。

レビー小体型認知症

大脳皮質の神経細胞にレビー小体という異常物質が蓄積することで発症する変性疾患性の認知症です。アルツハイマー型認知症と同様、記憶障害も認めますがレビー小体型認知症の方が軽い傾向です。以下、典型的な症状です。

・認知機能や意識レベルの変動
・幻視
・パーキンソニズム
・REM睡眠行動障害

注意力を伴う認知機能や意識レベルの明らかな変動
‣ 数時間、数日、数ヵ月単位で認知機能や意識レベルに明らかな変動があります。最も良いときはいたって普通ですが、悪くなるとまったく話が通じなかったり、普段している当たり前のことができなかったり、覚醒が悪くてボーっとしていたり、時間や場所・人がわからなくなったりと様々な症状が出ます。時には誤認妄想(誤った認識の事柄を信じ込む)や嫉妬妄想(夫が浮気しているなど)が現れることがあります。これらの変動はまるでスイッチが切れたり入ったりするかのようです。

幻視
‣ 色彩を伴った非常に鮮明で生々しい人・動物・虫などが昼夜問わずに出現します。もちろん幻覚なので本人にしか見えませんが、時にいないはずの人物と会話していたり、虫がいるからとおもむろに掃除機をかけたりします。どんな人物かと聞くと「 赤い服を着た白髪交じりの年配の女の人 」のような具体的な返事が返ってきます。

パーキンソニズム
‣ 筋肉が固まって思うように動かせなかったり、動作が非常に緩慢だったり、歩行状態が悪くなったりします。注意障害も相まって転倒などの危険性が高まります。

REM睡眠行動障害
‣ 夢に合わせて声を出して笑ったり、会話したり、激しく手足を動かしたり、時には歩いたり、とても睡眠中とは思えないような異常な行動をとってしまいます。

前頭側頭葉変性症

細かく分類すると非常にややこしくなるため、ここでは前頭側頭葉変性症の中でも特に頻度の多い前頭側頭型認知症について説明します。前頭側頭型認知症は若年(65歳未満)に好発し、若年発症型の変性疾患性認知症の10~20%を占めています。老年期に多いアルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症とは対照的です。人格の変化や社会的な対人関係性の障害を中心に、情動などのいわゆる人間らしさが欠けてくるのが特徴です。

・社会的に不適切な行動
・衝動的で不注意な動作
・他者と喜怒哀楽を共感する能力の消失
・常同行動
・自発性の低下

社会的に不適切な行動
衝動的で不注意な動作
‣ 社会的に明らかに不適切な行動を平然と、そして淡々とやってのけます。わかりやすい例が万引きです。全く悪気なく、しれっと盗っていきます。もはや『 盗る 』という感覚はなく、衝動的に『 当たり前のように持っていく 』といった感覚です。

他者と喜怒哀楽を共感する能力の消失
‣ 「 これをやったら相手がどう思うか / 相手にどう思われてしまうか 」といった感覚が消失します。したがって人間味が欠け、例えるならばまるでロボットのような感情のない状態になります。

常同行動
‣ 完全にルーティン化された、常同的な行動をとるようになります。例えば食行動です。毎日必ず同じものを買ってきたり、1日おきにカレーライスを作って食べる生活を半年以上続けたりなど、人によってその症状は様々です。極端な例を挙げると『 毎日決まった時刻に自宅を出て、正確に同じ道順で決まった場所に立ち寄り、それぞれの場所で決まった行為をして、決まった時間に自宅に帰ってくる 』といった具合です。
※これらの常同行動に本人の感情はなく、ただ淡々と儀式的に繰り返されているだけです。

自発性の低下
‣ 常同行動のように一見すると運動量自体は増えているように思えますが、内から湧いてくるような意欲や活動性は低下していることがほとんどです。

2025年における認知症患者の動向について

認知症
2025年には65歳以上の高齢者数は3,657万人と推計されています。そのうち、認知症の患者数は675万人~750万人と推定されています。さらにそのうち、アルツハイマー型認知症の患者数は466万人~504万人と予想されています。

イメージしやすいように言うならば、65歳以上の高齢者のうち約5人に1人が認知症になる割合です。100人の高齢者がいたとすると、そのうちの20人が認知症になる計算です。さらにその20人のうち、アルツハイマー型認知症が占める患者数はおよそ13人(約67%)となります。

決して不安をあおりたいわけではありません。あくまでもデータをもとに計算した結果であり、現実として起こり得る話です。我々はまだまだ認知症に対する理解が不足しています。というよりも誤解している面が多々あります。来たる2025年までには正しい知識と理解を深めておきたいところです。

参考文献

「今後の高齢者人口の見通しについて」 厚生労働省資料
「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」二宮 利治 , 九州大学大学院医学研究院附属総合コホートセンター, 2014