Written by M.Ken'ichi

それ、本当に認知症?ボケの他にも認知症と紛らわしい状態がある【抑うつ状態・せん妄状態】

認知症

高齢の両親を心配する家族
『 最近、急に忘れっぽくなったり、妄想っぽい言動が増えたような…ボケというわけではなさそうだし、これってもしかして認知症? 』

そんな質問にお答えします。
一見すると認知症かな?と誤解されやすい状態、『 抑うつ状態やせん妄状態と認知症との違い 』についてお話します。

※現在、認知症の専門医の下で勉強中です。ここでは認知症に関して得られた知見などを少しずつ公開していきます。

前回に記事:認知症とは?ボケとの決定的な違い

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抑うつ状態

抑うつ
『 気分が落ち込んで何もする気になれない 』『 興味関心が持てない 』『 思考力や注意力の低下 』『 憂鬱な気分 』『 億劫 』など。なにかを勧めても断ったり、表情が暗く沈んでいたり、自分を卑下するような言動も見られます。ただし、認知症の最初期にもしばしば表れるのでその点は注意が必要です。

せん妄状態

せん妄
注意力や思考力の低下、幻覚や妄想、興奮状態(落ち着きがない、暴れる)、見当識障害(日にちや時間、場所などがわからなくなる)、会話が噛み合わない、昼夜逆転、意識(覚醒)レベルの変動などが見られます。突発的に起こるのが特徴で、通常であれば一過性なので改善が可能です。

薬剤性認知症

経験上、遭遇率が高いのは薬の副作用(薬剤性認知症)です。年齢を問わず多量の薬を常用している方は要注意です。なお、特に中高年以上で何らかの基礎疾患を合併している場合、少量の薬でも特異的に反応する場合もあります。例えば新しい薬の服薬後などに、せん妄などの副作用が出ていないかをきちんと見極める必要があります。いずれにしても薬は飲まないに越したことはありません。支障のない範囲内で服薬調整をしてもらいましょう。

抑うつ状態やせん妄状態と認知症を区別しなければならない理由

認知症と似たような症状(注意力の低下や幻覚・妄想など)を起こすことがあるからです。これらはきちんと原因を治療して取り除けば完治することが可能です。

注意力の低下(いわゆる注意障害)とは?

ざっくり言うと『 集中力や根気が続かなかったり、些細なミスをしてしまったり、言われたことを忘れていたりなど… 』例えば仕事でクタクタな時はまさにこんな状態ですよね。なんとなく想像できますか?

注意障害とはフィルターのようなものです。外界の様々な情報を脳内にインプットするとき、逆に脳内の情報を外界にアウトプットするとき、あるいは脳内であれこれと思考を巡らせるときなどに注意障害(フィルター)があると情報の交通が妨げられます。その結果、集中力や根気が続かなかったり、些細なミスをしてしまったり、言われたことを忘れていたりなどの症状が起こるわけです。

ちなみに『 言われたことを忘れている 』という症状は、注意障害がある場合はそもそも『 記憶 』として脳内に認知されていません。つまり記憶に残る前の段階で情報がシャットダウンされているということです。『 注意障害=フィルター 』と例えたのはこのためです。

いわゆる正常な人ですら注意障害は生じることがあります。抑うつ状態やせん妄状態の患者には高確率で注意障害が存在します。妙に忘れっぽかったり、同じことを何度も言ったり聞いたりするので違和感を感じるかもしれません。ついつい認知症?物忘れ?と疑ってしまいますが、根底には注意障害が潜んでいる可能性が十分に考えられるので適切な検査が必要です。

認知症の患者が別の病気を合併した際、抑うつ状態やせん妄状態になることがある

認知症
今までにないような『 おやっ? 』と思う症状が見られたときには、認知症だから仕方がないと考える前に、他の原因がないかを検討する必要があります。

不安でどうしようもなくなる前に受診しましょう

『 神経内科 or 認知症外来 or 物忘れ外来 』で検索してみましょう。ついつい名前で敬遠したくなりますが、まずは相談です。きっと力になってくれると思います。
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