【 内容濃い目 】ダイエットにおけるカロリー、エネルギー、基礎代謝について考える

ダイエットを始めたい方 ダイエットには基礎代謝を上げるのが大事とか、エネルギーやらカロリー消費が大事って言うけどどういうこと?そもそも基礎代謝とかエネルギーとかカロリーってなに?基本的なところから教えてほしい。
そんなお悩みにお答えします。内容は『 基礎代謝やエネルギー、カロリーに関する基本的なお話と計算方法について 』です。一応ダイエット向けですが、健康管理のために運動を始めたい方にもおすすめです。わりと濃い目の内容ですのでがんばりましょう!少しでも参考になれば幸いです。
20分ほどの内容です。
こんにちは。ケンイチです。仕事柄、運動や栄養について考えることが多いです。このブログではその過程で得た知見などをちょっとずつアウトプットしていきます。少しでも皆さまの参考になれば幸いです。なお今回の内容は以前のブログをまとめたものになります。
今回の内容
- エネルギー = いわゆるカロリー
- 消費エネルギーの多くは基礎代謝に使われる
- 主なエネルギー源は炭水化物、脂質、タンパク質
- 脂肪が増えやすく減りにくい理由
- 1日分のエネルギー消費量の求め方 ← ガチ向け。紙とペンを用意。
- 運動による消費エネルギー ← 簡易的。さくっと計れます。
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エネルギー = いわゆるカロリー
『 エネルギーとは身体を動かすために必要な活動の源 』になるものです。『 車でいうところのガソリン 』にです。エネルギーの単位として『 cal 』が使われることから、エネルギーは一般的に『 カロリー 』と呼ばれています。
消費エネルギーの多くは基礎代謝に使われる
消費エネルギーが最も大きいのは『 基礎代謝 』です。基礎代謝とは 人が生きるために必要なエネルギー のことです。つまり1日中 何もせずにゴロゴロと過ごしていても消費しているエネルギー のことを言います。
エネルギーは『 基礎代謝:60%、生活活動:30%、食事による熱生産:10% 』といった割合で消費されています。
基礎代謝に含まれる要素
ⅱ. 新陳代謝(古い成分が新しい成分に置き換わること)
ⅲ. 体温維持
新陳代謝
新陳代謝には 基礎代謝の25%ほど が利用されますが、加齢によって徐々に低下します。 歳を重ねると基礎代謝が減少するのは新陳代謝が低下することも理由の1つです。
体温維持
暑くても寒くてもヒトの体温はおおよそ一定に保たれていますが、寒い時期では体温を保つためにさらにエネルギーが必要になります。言い換えると 寒いほうがエネルギーを消費する ということです。仮にダイエットに取り組むのならば 寒い時期のほうが結果が出しやすい かもしれません。
食事による熱生産
ヒトは食べたものを消化・吸収するときにも一時的に熱を生産します。食事による熱生産は 1日の消費エネルギーの10%程度 を占めています。例えば1日2,500kcalのエネルギーを消費したとすると、 およそ250kcalが食事による熱生産 で、残りが基礎代謝や身体活動によるものです。
タンパク質は太りくい?答え:太りにくいとも言えるが、結局摂り過ぎれば太る。
これには 食事による熱生産 が関係しています。『 タンパク質では摂取量の20%、炭水化物は5~10%、脂質は5% 』がそれにあたります。例えば タンパク質を500kcal摂取した場合、その20%にあたる100kcalが熱として放出 されます。
エネルギーが熱になるというのは、エネルギーが 無駄 になっているということです。したがってタンパク質は『 熱生産でエネルギーが無駄に使われる = 身体に取り込まれない = 太りづらい 』という解釈ができます。とは言え、結局のところ 大量に摂り続けていればいずれ太ります。
一方、 脂質はタンパク質よりも無駄になるエネルギーが少ない です。これはつまり ほぼ摂ったら摂った分だけ体脂肪になる ということです。脂質の摂り過ぎには十分気を付けましょう。
主なエネルギー源は炭水化物、脂質、タンパク質
ヒトの主なエネルギー源は『 炭水化物、脂質、タンパク質 』です。エネルギー量でいうと『 炭水化物:4kcal、脂質:9kcal、タンパク質:4kcal 』です。 炭水化物は脳の貴重なエネルギー源ですが、体内の貯蔵量は少ないので 飢餓状態では真っ先に枯渇 します。そういった場合、筋肉や内臓を作っている タンパク質が分解・合成 されて炭水化物を作り出します。したがって 飢餓状態では筋肉も減少する ことになります。
脂肪が増えやすく減りにくい理由
炭水化物はタンパク質から作り出すことができますが、タンパク質は炭水化物からも脂肪からも作り出すことができません。タンパク質と炭水化物は脂肪になりますが、脂肪は炭水化物にもタンパク質にもなれません。つまり脂肪は脂肪でしかなく、これが脂肪が増えやすく減りにくいと言われる理由です。
余ったエネルギーは体脂肪として蓄積
余ったエネルギー(炭水化物、タンパク質、脂質)は体脂肪として蓄積します。脂肪は炭水化物やタンパク質になれないので、蓄積した体脂肪を減らすには エネルギーとして消費する しかありません。
たとえば、活動的な日と非活動的な日で消費エネルギーに700kcalの差 があるとします。仮にしばらく非活動的な日が続くとして、その間に活動的な日と同じように食べ続けていたらどうなるでしょうか。単純計算をすると、 10日間で7,000kcalのエネルギーが余る ことになります。 脂肪は1gで9kcalのエネルギーを持っているので、7,000kcalのエネルギーが脂肪に変換されると800gくらいの重さになります。
つまり、一日中食べてはゴロゴロ、食べてはゴロゴロした生活が10日間続くと、ざっくり計算で 1kgも体重が増えてしまう ことになります。冷静に考えると恐ろしいことです…。
1日分のエネルギー消費量の求め方
ⅱ. 安静時代謝を求める
ⅲ. 1分間あたりの安静時代謝を求める
ⅳ. 計算したい日の生活活動を記録する
ⅴ. 各生活活動のメッツ値(身体活動の強度の指標)を調べる
ⅵ. 各生活活動のエネルギー消費量を求める
ⅶ. 1日分を合計して0.9で割る
紙とペン必須です。ちょっとややこしいですが1つずつ見ていきましょう。
基礎代謝量を求める
まずはおおよその基礎代謝量(kcal / 日)を求めます。下記リンクからどうぞ。ここでは『 30歳、男性、身長170cm、体重60kg 』を例に挙げて考えていきます。
安静時代謝を求める
次に安静時代謝(kcal / 日)です。計算式は以下の通りです。
『 30歳、男性、身長170cm、体重60kg 』の基礎代謝量は1,440(kcal / 日)なので、 安静時代謝は26.4(kcal / 日)となります。
注意点
減量目的・増量目的の場合、『 現在の体重 』と『 目標の体重 』との差 が重要となるので、両方を計算しておく必要があります。
1分間あたりの安静時代謝を求める
1分間あたりの安静時代謝(kcal / 分)を求めます。24時間は1,440(分 / 日)です。
『 30歳、男性、身長170cm、体重60kg 』の基礎代謝量は1,440(kcal / 日)なので、1分間あたりの安静時代謝は1.0(kcal / 分)となります。
計算したい日の生活活動を記録する
合計時間が1,440分(24時間)となるように記録しましょう。ざっくりでOKです。
たとえば『 7:00 – 8:00(60分)家事+身支度 』『 8:00 – 8:30(30分)徒歩通勤 』『 8:30 – 12:00(210分)デスクワーク 』『 12:00 – 12:30(30分)昼食 』『 12:30 – 13:00(30分)昼寝 』『 13:00 – 17:00(240分)デスクワーク 』『 17:00 – 18:30(90分)トレーニング 』『 18:30 – 19:00(30分)徒歩帰宅 』『 19:00 – 19:30(30分)家事など 』『 19:30 – 23:00(210分)フリータイム 』『 23:00 – 7:00(480分)睡眠 』といった感じです。
各生活活動のメッツ値を調べる
メッツとは安静時代謝と比べて何倍のエネルギーが必要な生活活動なのかの指標です。数値が高いほど強度が高いことを意味しています。各生活活動に該当するメッツ値を調べましょう。メッツ値はとても膨大な量があるので詳細は下記リンクからどうぞ。該当する活動がなければ似たようなものでOKです。
各生活活動のエネルギー消費量を求める
計算したい日の各生活活動のメッツ値をチェックしたらもう少しです!エネルギー消費量の計算式は以下の通りです。
例で挙げた生活活動を計算すると以下のようになります。
活動内容 | 時間(分) | メッツ値 | エネルギー消費量(kcal) |
家事+身支度 | 60 | 2.8 | 168 |
徒歩通勤 | 30 | 3.0 | 90 |
デスクワーク | 210 | 1.5 | 315 |
昼食 | 30 | 1.3 | 39 |
昼寝 | 30 | 1.0 | 30 |
デスクワーク | 240 | 1.5 | 360 |
トレーニング | 90 | 6.0 | 540 |
徒歩帰宅 | 30 | 3.0 | 90 |
家事など | 30 | 2.8 | 84 |
フリータイム | 210 | 1.3 | 273 |
睡眠 | 480 | 1.0 | 480 |
1,440(24時間) | 2,469 |
24時間分を合計して0.9で割る
24時間分の生活活動におけるエネルギー消費量の合計を0.9で割ります。
※ 0.9で割る理由 → 食事による熱生産分(およそ10%)が含まれていないため。
24時間の生活活動のエネルギー消費量2,469kcalを0.9で割るので、合計は2,743kcalとなります。皆さんはいかがでしょうか?エネルギー消費量は仕事内容や余暇活動によってかなり左右されますが、意外と使ってるな~という方が多いのではないでしょうか?
運動による消費エネルギー
簡易的な計算式ですが、ピンポイントでこれだけを計りたい!というものがあればこちらでも構いません。計算式は以下の通りです。
『 体重60kg、6.0メッツの運動強度、0.5時間(30分)』で計算すると…
『 体重80kg、6.0メッツの運動強度、0.5時間(30分)』で計算すると…
例を見てわかるように、運動による消費エネルギーには体重が要因として含まれます。車体の重い自動車のほうが軽い自動車よりも燃料消費が激しいのと同じ考えですね。
他の例も見てみましょう。運動時間はすべて0.5時間(30分)です。
体重 | 40kg | 60kg | 80kg |
ジョギング | 147 | 221 | 294 |
エアロバイク | 147 | 221 | 294 |
野球 | 105 | 158 | 210 |
サッカー | 147 | 221 | 294 |
水泳(ゆっくりなクロール) | 168 | 252 | 336 |
ダイエット・減量を目的とした際の計算のポイント
ちょっと細かしい話なので読み飛ばしていただいても構いません。ダイエットや減量を目的とした場合、純粋に運動したことによる消費エネルギーがどれほどなのか が気になるところです。簡易的な計算式の中には じっとしているときの消費エネルギー(安静時代謝量)も含まれているため、その分を差し引かなければなりません。とは言っても簡単です。該当する運動のメッツ値から-1.0するだけです。-1.0とはつまり安静時代謝量のことなので、計算式は以下のようになりますね。
『 体重60kg、6.0メッツの運動強度、0.5時間(30分)』で計算すると…
『 体重80kg、6.0メッツの運動強度、0.5時間(30分)』で計算すると…
安静時代謝量分といっても極端に大きな数値ではないので、気にしなくても良いのかなってところです。
まとめ
いかがでしたか?ちょっと面倒くさくなりましたね。大変お疲れさまでした。実のところ上記で挙げた計算式では寸分狂いのない値を出すことはできません。でも大丈夫です。100kcalや200kcalの違いなんて誤差の範囲内です。さすがに300kcalとか500kcalくらい違ってくると問題ですが、それでもだいたいでいいんです。『 目的はおおよその現状を把握すること、そして現時点における自分を自分で評価すること 』だからです。基礎代謝やエネルギー、それらの消費量を知ることはその第一歩です。今後正しく自分と向き合うためにも、空いた時間にチャレンジしてみましょう。
参考資料