【理学療法士】整形外科クリニックで働くメリット・デメリット

理学療法士

整形外科クリニックに就職するかどうか迷ってる。メリットやデメリットがあれば参考までに聞いてみたい。

理学療法士が整形外科クリニックで働くメリット・デメリットについて、それぞれ5つ挙げてみました。あくまでも私見ですが、最後までお付き合いいただけたら幸いです。

はじめに

異動や転職を含めると、整形外科病院→クリニック→個人医院→老人保健施設→訪問看護ステーションを経験してきました。人によってメリットとデメリットの感覚は違うと思いますが、ひとまず私が経験して実際に感じたことをお話させていただきます。

メリット①:整形外科疾患に専念できる

整形外科クリニックを希望する大多数の理由はこれでしょう。「整形外科疾患が診たい」「スポーツ外傷が診たい」「解剖学や運動学が好き」みたいな方は整形外科クリニックが選択肢に入ります。実際、めっちゃ楽しいと思います。もれなく私もそうだったので、気持ちはとてもよくわかります。

医師の専門領域(肩、股、膝、スポーツなど)にもよりますが、整形外科疾患であれば大体診ることになります。臨床では「疼痛や拘縮などの機能障害に対する知識」「動作分析のスキル」「論理的思考能力」がフルに試されます。

整形外科の基本はなんと言っても「解剖学」の知識です。とにかくコレがなければ何も語れません。苦手な人はとことん苦手でしょうが、好きな人にとってはたまらない分野でしょう。

メリット➁:老若男女問わず接する機会がある

老若男女とはいえ「老」が多いのはどこに行っても同じだと思いますが、世の中には様々な人間がいるのだなと感じます。患っているとはいえ整形外科では基本的にみんな元気なので、純粋に会話が楽しいと思います。

患者にもよりますが、治療中は雑談をたくさんします。クリニックでは外部の人間と接する機会が多いため、いわゆる一般的な社会を知る良い機会となります。

雑談を通じて様々な知識、土地の風習や出来事、趣味など知らなかったことをたくさん教えてもらいました。そういう意味において、クリニックは貴重な社会勉強の場とも言えます。もしかしたら素敵な出会いもあるかもしれません。

メリット➂:コミュニケーション能力が鍛えられる

わたしもコミュ障ですが、自然とコミュニケーション能力が鍛えられます。もそもコミュ障の特徴は「何を話したらいいのかわからない→経験不足→何を話したらいいのかわからない→経験不足」みたいな悪循環の結果だと思っています。

でも大丈夫。強制的にコミュニケーションを取らざるを得ないため、イヤでも話さなければなりません。日常会話も大切ですが、理学療法士の立場としてまずは問診ですね。

整形外科疾患の多くは疼痛が主体なので、例えば「自己紹介→どこが痛いどこですか→どういうときに痛いですか→いつから痛いですか→どのくらい痛いですか→ちょっと診させてもらいますね」など。理学評価のテンプレートがそのままコミュニケーションに使えます。

きっとその過程で生活習慣や趣味、場合によっては仕事の話題などに触れることになるでしょう。いきなり込み入ったことを聞くわけにはいきませんが、理学療法の一環として支障がない程度に聞く分には相手からしても違和感は少ないでしょう。

聞き役・質問役に徹していれば自然と理学療法に必要な情報収集が行えます。コミュニケーションも成立します。相手との信頼関係も確立できることでしょう。

メリット➃:書類業務や委員会活動が少ない

病院や介護施設に比べたら、書類業務も委員会活動も圧倒的に少ないです。書類業務はせいぜいカルテと計画書くらい。委員会活動なんて少ないというか、そもそも存在しないクリニックのほうが多いでしょう。

書類業務(カルテ以外)ほど無駄な作業はありません。ただただ時間の無駄使いで仕事が増えるだけなので、そこに割く労力は必要最低限に留めましょう。今となっては書類業務が少なかったクリニック時代が懐かしい。

メリット⑤:長期休暇(年末年始、お盆、GW)は確実に休める

クリニックは基本的に個人医院です。経営者である医師も人間なので、やはり長期休暇が欲しいところ。したがって年末年始やお盆、GWは確実に連休となります。

施設によってはカレンダー+αで休めるところもありますが、この辺は医師の判断(性格)によるでしょう。ちなみに病院や施設の体制によっては休日出勤があります。うーん、絶対に嫌ですね。

デメリット①:整形外科疾患以外の経験値が乏しくなる

クリニックではどうしても整形外科疾患以外の経験値が乏しくなります。脳血管疾患の既往の方が稀にいらっしゃるものの、こればかりは仕方がありません。

もちろん細かく言えば高血圧や糖尿病などの内科疾患、心不全などの心疾患を患っている方はいらっしゃいます。とはいえどこかしら身体が痛くて来院しているわけなので、やはり整形外科疾患がメインとなります。

なおクリニックで診るような整形外科疾患では、基本的に局所の身体機能改善が目標になると思います。したがって、広義でのリハビリテーション(「人間らしく生きる権利の回復」や「自分らしく生きること」)を考える機会が少なかったように感じます。

デメリット➁:短時間での成果が求められる

限られた時間でどれだけ的確な評価や治療ができるか、そしてそれなりの成果が得られるか。「時間」という縛りプレイの中で圧倒的に実力が試されます。おそらく、向いていない人にはとことん向いていないと思います。

時間内できること、できないことがあるのは事実です。そんな時はできるだけ理論的にわかりやすく説明し、納得してもらったうえで通ってもらうしかありません。そのためにもやはり信頼関係の構築、つまりコミュニケーション能力が重要となります。そういう意味では、あまり大きな声では言えませんが「話術」も大切なのです。

デメリット➂:スケジュール管理が必要

基本的に予約制です。だいたいの現場では、おそらくスケジュールは自己管理だと思います。「Aさんは落ち着いてきたし20分で終わりそう、Bさんはちょっと時間がかかりそう、Cさんは新規だから40分は取らなきゃ」など、計画的に行動しなければならないので、ちょっとした遂行機能が試されます。

デメリット➃:他部署・他職種との関わりが極端に少ない

そもそも医師や看護師、療法士、助手、事務員くらいしかいないので他部署もなにもありません。たまにスポーツトレーナーや柔道整復師が常勤している程度です。外部との関わりなんて、患者と業者くらいなものです。

病院や介護施設に比べると、クリニックは施設の規模が圧倒的に小さいです。したがって、一日中狭い室内にいるのが苦手な人には辛いかもしれません。さらに職員数も少ないので自然と「狭く、深い人間関係」になります。上手くハマれば結構ですが、これまた苦手な人にとっては問題かもしれません。

デメリット⑤:有休が取りづらい

多忙さに加え、少数精鋭なのでスタッフの代行が利きにくく休みづらいです。さらに有休申請はおそらく医師に相談することになるでしょう。要相談とは言え「経営者が働いているのに休むのか」みたいな雰囲気は否めません。

大型連休こそありますが、有休だってきっちり使いたいですよね。休みやすい環境構築のためにも、医師との関係性は良好に保っておくことが重要でしょう。

余談ですが、クリニックでは「平日午後休み、土曜日午後休み、日曜祝日休み」が多いと思います。何が言いたいかというと、一日休みが極端に少ないのです。やっぱり土日の連休は欲しい。土日が休みたければ、就職前に必ずチェックしましょう。平日の午後休みはありがたいですけどね。

おわりに

整形外科クリニックで働くメリットは「整形外科疾患に専念できる」「老若男女問わず接する機会がある」「コミュニケーション能力が鍛えられる」「書類業務や委員会活動が少ない」「長期休暇(年末年始、お盆、GW)は確実に休める」、デメリット「整形外科疾患以外の経験値が乏しくなる」「短時間での成果が求められる」「スケジュール管理が必要」「他部署・他職種との関わりが極端に少ない」「有休が取りづらい」です。

どこで働いてもメリット・デメリットは存在するでしょう。結局選ぶのは自分なので、何をどこまでなら許容できるのか、デメリットを上回るメリットがあるのかなど、就職前にできるだけ考えておきましょう。



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