【心理学】恋愛の心理学

恋愛に悩む人
『気になる人に振り向いてもらいたい。どうしたらいいのかな。』
そんな質問にお答えします。
ここでは参考書籍から得た心理学の理論をもとにざっくりと解説していきます。無論、こうすれば間違いないという方法は存在しませんが、心理学はきっとあなたの助けになります。
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本日の内容
- 積極的に交流する
- 相手と自分の行動を合わせる
- 相手のタイプによって接し方を変える
- つり橋のドキドキは恋のドキドキ
- まとめ
積極的に交流する
恋愛のコツとして「積極的にアタックしよう」と言われることがあります。もちろん強引なやり方はダメですが、接する機会が多いほど高感度が高まるということは心理学的にも示されています。これに関して行われた実験をご紹介します。
積極的に交流する|心理学者ロバート・ザイアンスによる実験
大学生に6人の見知らぬ人の写真を繰り返し見せ、それぞれの人に対する好感度の点数をつけてもらいました。繰り返す回数は写真によって違います。回数が多くなるほど、好感度が高くなりました。
人によって顔には好みがあるにも関わらず、たくさん接した相手のことを、より好ましく感じたのです。この現象は三角形や四角形などの図形、意味のわからない外国語など、さまざまな対象に対して同様の効果が確認されています。
実験の解説|よく知っているものを好ましく感じる
『単純接触効果』とか『ザイアンス効果』と呼ばれています。顔写真を繰り返し見せられると、見せられた人はその顔を無意識のうちに記憶します。記憶するとは「認知のための準備状態がつくられる」ということです。初めて見せられた写真に対しては「この人の顔はこんな形で、こんな特徴があるのか」と、ゼロから認知しなければなりません。
一方、繰り返し見た写真に対しては「だいたいこんな感じの顔だったな」という記憶をもとに、すばやく認知されます。この状態を『認知的流暢性が高い』といいます。
勘違いから始まる好意
「すばやく認知できるものは、自分にとって好ましいものであるはずだ」という勘違いが生じます。たしかに好ましいものは記憶に残りやすいため、認知的流暢性が高まりやすいと考えられます。しかし、実験で「すばやく認知できる」という結果が得られたのは、単に「多く接した」だけであり、好ましさは関係ありません。
それにも関わらず、このような勘違いがしばしば起きてしまうのです。とある結果につながる原因が複数ある場合、その原因を誤って推定してしまうことを心理学では『誤帰属』と呼びます。
単純接触効果は身近な場面でも起こりうる効果です。たとえば、よく聞くコマーシャルソング。はじめは特に気にとめていなかったのに、いつの間にか口ずさめるようになっていた経験がある人は多いと思います。これも一種の単純接触効果といえます。
相手と自分の行動を合わせる
接する機会を増やすだけでも好感度は高まりますが、相手の話し方やジェスチャーを見て、それに合わせてみるのも良いかもしれません。実験を一つご紹介します。
相手と自分の行動を合わせる|心理学者ターニャ・チャートランによる実験
ペアを組んで、写真の内容を相手に言葉やジェスチャーで伝えるという実験を行いました。
実験の結果
参加者に「ペアへの好感度」「実験のスムーズさ」を評価してもらうと、いずれもグループAのほうが評価が高い結果となりました。
このように、ジェスチャーや話し方が自分と似ている相手に対して、親近感をもつ効果のことを『ミラーリング効果』といいます。同じ行動をする人は、性格も近いだろうと思うことで、親近感が高まるといわれています。
相手のタイプによって接し方を変える
ミラーリング効果は、カウンセリングや営業の場面などでも、コミュニケーションを円滑に行うために用いられています。その際、物事を断言するかどうかという『言語的な観点』、自分の感情を表に出すかどうかという『非言語的な観点』によって人の性格を4パターンに分類する『ソーシャル・スタイル』が参考になります。
相手がどのパターンに分類されるかを見極め、相手の分類に合わせた行動をとれば、コミュニケーションや商談が円滑に進むと考えられます。
たとえば「物事を断言し、感情を表に出さない人」に対しては、商談が成立したときに得られるメリットを簡潔に述べることが有効です。「物事を断言せず、感情を表に出す人」に対しては、リスクがないことを丁寧に説明し、何度も顔を合わせて信頼感を得ることも重要です。
つり橋のドキドキは恋のドキドキ
つり橋を渡るドキドキを恋愛感情のドキドキと勘違いしてしまうことを『つり橋効果』といいます。心理学全体の中でもとくに有名な効果です。これについて行った実験を一つご紹介します。
つり橋効果|心理学者ドナルド・ダットンらによる実験
高さ70mのつり橋の上と高さ3mの頑丈な橋の上で実験を行いました。女子学生を実験補助者として、橋の上を偶然通っていた男性に声をかけ、実験への協力を依頼しました。
実験の結果
高さ70mのつり橋の上で行った実験のほうが、恋愛感情に似たドキドキ感や今後の展開に対する期待値が高いことが証明されました。
つり橋効果も勘違いで起きる
つり橋効果の結果も『誤帰属』によるものと考えられます。つり橋の上で恐怖によってドキドキを感じたとき、目の前に女性がいるとドキドキの理由を「女性に対する恋愛感情によるものだ」と勘違いし、恋愛感情が高まるのだと考えられます。
まとめ
今回は恋愛に関する心理学的効果を紹介しましたが、恋愛は人と人との関係の中で成り立つものです。技術を使えば良いというものではありません。「誠実に相手を想うこと」が何よりも大切だということをお忘れなく。
『単純接触効果』
接した回数が多いものほど、好ましいと思う効果。接した回数が多いと、接したものに対する認知がすばやく行われるようになる。そうすると、すばやく認知できる(認知的流暢性が高い)のは、自分が好感を持っているからだと勘違いし、好感度が高まると考えられている。
『誤帰属』
つり橋効果は、別の原因で生じたドキドキを、好ましさによるドキドキであると勘違いすることによって起きる。このように「結果」から「原因」を推定する際、その推定を誤ることを誤帰属とよぶ。
『ミラーリング効果』
身ぶりや話し方などの「雰囲気」が似ている相手に対して、好感度が高まるという効果。自分の雰囲気に近い人は、自分と同じ性格や考え方を持っているはずだと感じることによって起きる効果のこと。
参考書籍
暮らしや生活にいかす、心と行動の科学 心理学実践編,Newton別冊,2021