Written by M.Ken'ichi

【心理学】モチベーションの心理学

心理学

やる気が出ない人
『明日までにやらなきゃいけない仕事があるのに、なんとなくやる気が出ない。やる気を出すための方法があったら教えてほしい。』

『モチベーション=やる気』のこと。ここでは参考書籍から得た心理学の理論をもとにざっくりと解説していきます。無論、こうすれば間違いないという方法は存在しませんが、心理学はきっとあなたの助けになります。

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本日の内容

  • 短期目標と自己効力感
  • 短期目標|目標は細かく分けるとうまくいく
  • 自己効力感|自分はやれるという気持ちが重要
  • まとめ

短期目標と自己効力感

心理学
やる気を高めるための重要なポイントは『短期目標を設定すること』『自己効力感を高めること』です。ひとつずつ解説していきます。

短期目標|目標は細かく分けるとうまくいく

心理学
やる気を出すために重要なのは、自分にとって意義のある目標を自分で決め、それに挑戦することです。自分の行動を自分で決めることを心理学では『自律』と呼びます。自律は、やる気を構成する重要な要素となります。

とはいえ日常の中では、他人から言われたことをやらなければならない場面は少なくないでしょう。そんなときに重要なのは『細かく目標を立てること』です。ひとつ、細かい目標の立て方について調べた心理学の実験をご紹介します。

細かい目標の立て方|心理学者アルバート・バンデューラらによる実験

算数が苦手だと思われる40人の小学生を集め、7回に分けて42ページの問題集をやってもらいます。このとき、彼らを以下の3つのグループに分けました。

  • グループA:目標を細かく設定(毎回最低6ページ終わらせよう)
  • グループB:目標を大まかに設定(7回で42ページ終わらせよう)
  • グループC:目標を設定しない(できるだけたくさんやろう)
  • 実験の結果

    問題集を終わらせる達成率が一番高いのは、グループAという結果になりました。

  • グループA:達成率74%
  • グループB:達成率55%
  • グループC:達成率53%
  • 結果の分析

    グループBに課せられた「42ページの問題集を7回で終わらせる」という大きな目標は『長期目標』と呼びます。マラソンでいうところの「42.195㎞を走り切ろう」といった具合。長期目標は最終的に目指すべきところを意識するためにも、非常に重要なものです。

    しかし、実際に行動を積み重ねる際には、長期目標だけではうまくいきません。その際に重要になるのが『短期目標』です。短期目標とは、長期目標を成し遂げるために達成すべき小さな目標、つまりチェックポイントのようなものです。

    マラソンでいえば「まずは10kmを走れるようになろう」「10kmを60分で走れるようになろう」などのことです。短期目標をたくさん立てて、それらを一つずつクリアしていくことで達成感を感じ、やる気を保つことができます。

    さきほどの実験のグループAは「毎回最低6ページ」という短期目標が明確に示されたため、やる気を維持できて目標を達成する割合が高くなったと考えられます。対して、グループBとグループCはどうかというと、長期目標だけを立てることと、何の目標も立てないことは、実は同じ程度の効果しかないということが言えます。

    自己効力感|自分はやれるという気持ちが重要

    心理学
    『そうか、短期目標を立てればすぐにモチベーションが上がるんだ』というと、そういうわけでもないようです。短期目標を達成すれば長期目標に近づくことができると感じ、さらに自分がその短期目標を達成できると感じたときに、はじめて行動へのモチベーションが高まります。具体的に見ていきましょう。

    結果予期と効力予期

    短期目標を達成するための行動をすれば、長期目標に近づくことができるという期待のことを『結果予期』といいます。また、短期目標を達成するための行動を自分がやり遂げることができるという、自分自身への期待のことを『効力予期』といいます。

    効力予期は『自己効力感』ともよばれ、やる気を出すには自己効力感を高めることが重要です。自己効力感を高める要素には『達成体験(自身の成功体験)』『代理体験(他者の成功体験の監察)』『言語的説得(勇気づけるような言葉がけ)』『生理的喚起(心身の状態が良好)』の4つがあります。

    中でも最も重要なのは達成体験です。自分で達成すれば自身になるのは当然ですよね。しかし、代理体験も重要視されており、自分だけではうまくいかないときは、他者の成功を観察してみるのも必要です。

    代理体験の観察のポイント|心理学者デール・シャンクらによる実験

    自分よりも上の立場の人間の成功を観察するよりも、自分と立場の近い同僚の成功を観察するほうが、自己効力感を高める

    学習性無気力への対応

    さて、とはいうものの努力をしてもなかなか結果が得られない失敗が続くと、やる気はなくなってしまいますよね。これは『学習性無気力』とよばれる状態です。

    学習性無気力から立ち直るためには、他者からの支援が必要です。相談に乗ってくれるなどの「情緒的サポート」、目標達成を直接手助けしてくれるなどの「道具的サポート」によって支えてもらうのも、ときには必要なのです。

    ちなみに、どうしてもやる気が出ないときは、とにかくやり始めてみるのも一つの手段です。やっているうちに、だんだんとやる気が高まってくることもあるからです。これを『着手的動機づけ』といいます。

    まとめ

    『短期目標』
    大きなスローガンである長期目標を成し遂げるために達成すべき小さな目標のこと。長期目標を細かなチェックポイントに分け、それらを着実に達成していくことにより、モチベーションを維持できる。

    『自己効力感』
    目標を達成するために必要な行動を、うまくやり遂げることができると信じること。「できるだろう」という思い込みが、やる気につながる。過去の成功体験や、他者の成功体験の観察などによって形成される。

    参考書籍

    暮らしや生活にいかす、心と行動の科学 心理学実践編,Newton別冊,2021