【認知症の早期診断】物忘れ外来を受診するときの流れと整理すべきポイント

両親の認知症が気になっている家族
『両親の物忘れが気になる。もしかして認知症?一度、物忘れ外来を受診させてみたい。受診時の流れやポイントがあれば教えてほしい。』
そんな質問にお答えします。
近年、テレビやインターネットで認知症の話題をよく耳にします。認知症の早期診断には物忘れ外来を受診しましょう。今回は受診時の流れや整理すべきポイントなどについてお話していきます。
※以前、認知症の専門医の下で勉強していました。ここでは認知症に関して得られた知見などを少しずつ公開していきます。
本日の内容
- 物忘れ外来とは
- 受診時の注意点
- 受診時の持ち物
- 診察の流れ(当院の場合)
- 受診前に整理しておくべきポイント
- まとめ
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物忘れ外来とは
物忘れ外来は認知症を診るための専門外来です。『認知症外来』とも呼ばれており、主に神経内科医や精神科医が診療に当たります。
物忘れ外来は全国に点在しますが、病院選びが難しいところです。一口に「おすすめの病院はココ」とは言い切れませんが、ひとまず公益社団法人 認知症の人と家族の会のホームページをご参照いただければと思います。
受診時の注意点
一人だけで受診させない
これはかなり重要です。理由は本人の話だけでは信ぴょう性に欠けるからです。必ず、できれば同居する家族が同席してください。
認知症の診察では『生活上の障害がどの程度あるのか』がポイントになります。本人自身が「なんだか変かも」と認識している場合もありますが、具体的にどのくらい悪いのかといった『病気の程度』は把握できていません。したがって、必ず同居する家族から『実態』を聴取する必要があるのです。
受診時の持ち物
・保険証
・診察券
・おくすり手帳
・その他(紹介状、情報提供書など)
おくすり手帳はめちゃめちゃ大切です。というのも、薬の副作用が認知症を引き起こしたり、助長させたりすることがあるからです。そんなときは単純に薬をやめてみるのが最善だったりします。準備を本人任せにせず、出発前には必ず確認しておきましょう。
診察の流れ(当院の場合)
診察の流れは病院によって異なると思いますが、ひとまず当院での流れをご紹介します。
一回目
問診(本人、家族):40分程度
認知症のスクリーニングテスト(本人):20分程度
生活上の様子について聴取(家族):50分程度
血液検査(本人)::5分程度
二回目
認知症の詳細なテスト ‐ 前半 ‐(本人):60分程度
MRI検査(本人):20分程度
三回目
認知症の詳細なテスト ‐ 後半 ‐(本人):60分程度
脳波検査(本人):10分程度
四回目
身体機能検査(本人):10分程度
病状説明(家族、本人):60分~90分
ご覧の通り、かなりの長丁場です。でもこれくらいの時間をかけないと、本当の意味での『認知症の実態』が掴めないのです。したがってある程度時間をかけて診てくれる病院を探す必要がありますが、こればかりはなんとも情報が足りずにアドバイスができません。
受診前に整理しておくべきポイント
認知症の診療では『問診』が重要です。得られた情報を整理することが、認知症治療の第一歩でもあるのです。したがって、同席するご家族にも情報をある程度まとめておいてもらうと、診療が非常にスムーズです。ここでは整理しておくべきポイントについてご紹介します。
- 現在の状態
- これまでの経過
- 既往歴
大きく分けて3点です。詳しく説明します。
現在の状態
まずは、いま現在の状態についてです。何がどう具合が悪いのでしょう。以下の点について、具体的なエピソードがあればまとめておくと良いです(全部ではなくても大丈夫です)。
物忘れについて
自分の身の回りのこと(服装、入浴、整容)について
ここで重要なのは『100%、本人に任せて大丈夫かどうか』です。声を掛けないとやらなかったり、たまに手伝いが必要だったり、なんとなく段取りや手順がチグハグだったりする場合は100%とは言いません。
家庭内外の生活について
ここでも『100%、本人に任せて大丈夫かどうか』がポイントです。声を掛けないとやらなかったり、たまに手伝いが必要だったり、なんとなく段取りや手順がチグハグだったりする場合は100%とは言いません。
気分や感情、精神面について
これまでの経過
次は、これまでの経過です。認知症の領域では『経過』を整理するのが重要です。「症状が強くなったのはいつ?」ではなく『症状が始まったのはいつ?』がポイントです。以下のように考えてください。
・
生活に困るか困らないかは別として、「あらら?」という不自然さを感じるようになったのは、最大でどのくらい遡れるでしょうか。また、どんな内容の物忘れだったでしょうか。もしかしたら最初は物忘れではなく、身だしなみの不自然さ、料理の手順や味の変化などだったかもしれません。
ということで、例を挙げるので時系列に整理してみましょう。
あくまでも例なので症状の順番は適当ですが、上記のように時系列で整理するとわかりやすいです。ただし、こういうのは後知恵なので「そういえば〇年前くらいから物忘れのような…」くらいで結構です。情報源は同居する家族のものが一番ですが、たまにしか会わない非同居の親族からの情報も参考になります。
繰り返しますが、生活に困る困らないは別として『症状が始まったのはいつ?』を考えるのがポイントです。
既往歴
最後は既往歴について確認です。正確に認知症の病態を把握するには欠かせない情報です。認知症は、頭部外傷や脳梗塞が引き金になることが多々あります。他にも甲状腺などのホルモンの病気、高血圧や糖尿病などの持病の有無も重要です。ということで以下の項目をチェックしてみましょう。
既往歴ではありませんが、以下の内容も確認しましょう。
まとめ
物忘れ外来と聞くと、ちょっと敬遠してしまうと思います。受診しにくいかもしれませんが、本当に心配であれば一度診てもらうことをお勧めします。以下、受診時のポイントの確認です。
ある程度の情報とは
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