Written by m.kenichi

軽度認知障害(MCI)と認知症の違いは生活に支障があるかないかの差

認知症

認知症を気にする家族
『 最近、軽度認知障害(MCI)とか認知症をよく耳にするけどいったい何なの?違いについて知りたい。』

そんな質問にお答えします。
テレビやインターネットでよく話題に上がりますね。今回、それらの違いについて解説するとともに、概要についても少し触れたいと思います。

※現在、認知症の専門医の下で勉強中です。ここでは認知症に関して得られた知見などを少しずつ公開していきます。

今回の内容

  • MCIと認知症の違い
  • MCIの概要(MCIとは、診断基準、予後)
  • 参考資料

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MCIと認知症の違い


【 MCI 】
物忘れはあるけど、日常生活は一人で問題なく過ごせている状態
【 認知症 】
物忘れは明らかで、日常生活にも支障があるため何らかの手伝いが必要な状態

要するに『 日常生活に支障があるかないかの差 』です。

MCIの概要(MCIとは、診断基準、予後)

MCIとは

そもそも、MCIとはMild Congnitive Impairmentの略です。日本語では軽度認知障害と訳しますが、MCIのほうが浸透していますね。教科書的な概念は以下の通りです。

正常な加齢に関連する認知機能の低下と、正常な加齢による低下の範囲を逸脱した明らかな異常状態の境界状態に当たる概念。概念的には記憶などの認知機能に臨床的に有意な障害があるが、日常生活活動障害を伴わず認知症の診断基準を満たさないもので、Clinical Dementia Rating(CDR)で0.5の者などの定義がなされている。

『 物忘れはあるけど、日常生活は一人で問題なく過ごせている状態 』ですね。ただし、これらの基準だけでは不十分なため以下の診断基準が提唱されています。

診断基準について

➀本人や家族などから記憶障害(物忘れ)の訴えが聞かれる
➁日常生活は自立しており、問題がない
➂全般的な認知機能は正常
➃正常な高齢者に比べると記憶力が低下している
⑤認知症とは言えない

MCIの概念としては、正常と認知症の中間にあたります。ごく軽い認知機能の障害はあっても、本格的な認知症ではありません。

‣ 認知症の初期症状を見逃さないための簡単なテストがあります。
※MCIの程度によっては、簡単なテストには引っかからない場合があります。

予後

・認知症を発症するリスクが10-15% / 年の単位で増大
・認知症を発症するリスクは健常者の約10倍
・特にアルツハイマー型認知症を発症するリスクが高い

…とまぁネガティブな面を並べましたが、必ずしもMCIの患者すべてが認知症を発症するわけではありません。MCIのまま長期にわたり留まる方、稀に認知機能が正常化する方がいるのも事実です。悲観のし過ぎはかえって状態を悪くします。

参考資料

博野信次:臨床認知症学入門 改定2版, 2007