【朝日連峰】日暮沢小屋から時計回りに激混み小屋泊登山|2024年10月12,13日(初日)
朝日連峰の登山を検討中の方
『秋の朝日連峰の登山ってどんな感じだろう。なにか情報があれば教えてほしい。』
この記事は備忘録ですが、少しでも参考になれば幸いです。
本日の内容
- 感想
- スケジュールなど
- 装備品
- 登山ルート
- 朝日連峰について
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感想
念願の朝日連峰は奇跡的に秋晴れにも恵まれて会心の登山日和となりました。朝夕こそ気温一桁でだいぶ冷えましたが、日中は程よい気温に穏やかな風が大変心地よかったです。紅葉全盛期には若干早かったようですが、それでも十分すぎるほどの紅葉を満喫することができました。
登山行程としては数ある登山ルートのなかで散々迷った挙句、日暮沢小屋から時計回りに一泊二日の小屋泊登山としました。初日は日暮沢小屋→大朝日岳→竜門小屋、2日目は竜門小屋↔寒江山(ピストン)→日暮沢小屋といった具合です。竜門小屋か大朝日小屋で悩みましたが、寒江山にも足を延ばしたかったこと、初日で体力があるうちに距離を稼ぎたかったこともあり竜門小屋泊としました。
初日はまだ真っ暗闇のなか歩き始め、尾根に取りつくあたりで明るくなってきました。朝日に照らされた山々が大変美しかったです。古寺山あたりまで登ると盆地に続く見事な雲海が広がってくるとともに、お目当ての朝日連峰とその美しい稜線が眼前に迫ってきます。もうね、圧巻の一言です。
ここまで来たら素晴らしい景色を眺めながらの稜線歩きです。アップダウンがあるので決して楽ではありませんが、これでもかってくらい美しい自然を堪能できます。小朝日岳では標高が高くなりさらに眺望も良くなります。どこをどう切り取っても絵になります。
大朝日小屋で荷物をデポして大朝日岳に向かいます。決して広くない山頂には写真撮影や食事休憩等で混雑していたため、サクッと写真を撮って景色を眺めた後すぐに次へと向かいました。竜門小屋まではまだまだ長い道のりですが、ここの稜線がまた美しくてどこまでも続いていそうです。
ヘロヘロになりながら竜門小屋にたどり着いたのは13時でしたが、なんとこの時点ですでに小屋内にはかなりの登山客がおりました。結局これから続々とやってきて、最終的には足の踏み場もないくらい満員となり、土間コンクリートや階段で寝るような状態となりました。避難小屋なので文句なんて言えませんが、正直これはかなりしんどかったですし、「もう二度と紅葉真っ只中の小屋泊登山はしまい」と心に決めた瞬間でもありました。
でもまあ考えてみれば貴重な3連休初日。しかも秋晴れ確定で紅葉にも最適なタイミングでした。したがって考えることは皆さん同じなわけで、どの駐車場もどの小屋泊も激混みだったそうです。「やっぱりそうなるよな」とも思いましたが、想像以上の激混み具合に不慣れな私は参ってしまいました。そういう意味では大変反省の多い山行となりました。
スケジュールなど
【日にち】2024年10月12,13日
【天候】晴れ
【気温】日中15℃前後、夜中5℃前後
【登山ルート/時間】
初日:日暮沢小屋→大朝日岳→竜門小屋/8時間50分/15.3km(休憩含む)
2日目:(竜門小屋↔寒江山)→日暮沢小屋/6時間/10km(休憩含む)
【電波状況】おおよそ圏内(docomo)
【紅葉】おおよそ見頃だが少し早いか
装備品
・ドイター エアコンタクトライト 50+10
・シートゥーサミット ウルトラ シル デイパック
・SEA TO SUMMIT Spark SpⅣ
・サーマレスト スリープライナー
・NEMO テンサー
・シートゥーサミット エアロプレミアムピロー
・ミレー ティフォン 50000 ウォームストレッチジャケット
・ミレー クータイ II ウール ジップ ロングスリーブ
・ミレー アンダーウェア ドライナミック メッシュ ノースリーブ
・ミレー アンダーウェア ドライナミック メッシュ 3/4 タイツ
・モンベル ガイドパンツ ライト
・モンベル キャップ
・サングラス
・シナノ トレッキングポール アルミ 125
・スポルティバ トランゴ テック レザー GTX
・PRIMUS ウルトラバーナー P-153
・PRIMUS ガス IP-110
・EPIシングルチタンマグ
・着替え
・食料、非常食
・水(1.5ℓ)※銀玉水、竜門小屋で適宜給水
・エマージェンシーシート
登山ルート
初日:日暮沢小屋→大朝日岳→竜門小屋/8時間50分/15.3km(休憩含む)
2日目:(竜門小屋↔寒江山)→日暮沢小屋/6時間/10km(休憩含む)
※都合上、横向きにしてあります。見づらくてすみません。なお竜門小屋から寒江山間はスマートフォンを小屋に忘れてしまった都合でログが取れていません。したがって2日目の時間と距離は後日検索して追記したおおよその分が含まれています。
4:30 日暮沢小屋
道の駅「月山」で車中泊というか仮眠をとり、AM 4:00には日暮沢小屋駐車場に到着していました。しかしすでにかなりの混雑具合で、初見の私はいったいどこに停めたらいいのって状態でした。結局雨量計付近の駐車スペース(3~4台分)に停めることができました。
余談ですが翌日の下山時には林道脇に所狭しと駐車されていました。意外と何とでもなるんだなって思いましたが、見境なしに停められる危険性もあるのである程度制限したほうが良いのではないかと感じた次第です。
ところでこの時間から時計回りに登り始める方はかなり少なかったように感じましたが、結果的にこれくらいからら登り始めて良かったと思います。真っ暗で何も見えないなかヘッドライトを頼りに林道を進みつつ、何度か渡渉しながら尾根に取り付きます。この時点でようやくほんのりと明るくなってきました。
6:30 古寺鉱山ルート合流地点
しばらく進んでいくと古寺鉱山ルートと合流します。後々知ったことですが古寺鉱山ルートも大混雑で駐車場も満杯だったそうです。すっかり明るくなり合流後は登山者も増えてきたため安心して登ることができました。紅葉樹林帯のなかを黙々と登っていきます。
7:00 三沢清水
数ヵ所ある水場の一つです。給水にちょうど良いタイミングだったので飲んでみましたが、特段おいしくありませんでした。硬水とは違うんですが、なんとなく硬いというかどことなく雨水そのままって感じでした。とはいえ給水できるだけありがたい限りです。ちなみに大朝日小屋麓の銀玉水はマジで評判通りのおいしさでした。超軟水で甘味を感じるようなレベルです。
さてここからもうひと踏ん張りすると稜線に出ます。稜線からは盆地に広がる超絶雲海を眺めることができます。いやはや素晴らしい景色に思わず足が止まります。
7:20 古寺山
稜線に出て間もなく古寺山に到着です。山頂はごく狭いためゆっくりはできませんが、ここから眺める朝日連峰の美しさたるや。ここでも思わず見とれてしまいます。これから進んでいく稜線がマルッと確認できます。こうやって眺めてみると「なげえ…遠いなあ…」というのが本音です。
ここで達人らしき方に教えてもらったのですが、絶頂期の紅葉はもっともっとすごいらしいです。山頂に続く一本一本の尾根が真っ赤に染まるくらい色づくとのことでした。今年は例年よりも遅れており、一週間後くらいがちょうど良いかもしれないとの見解でした。
さて手前に見えるのが小朝日岳ですが、手前と言ってもこれが結構長くて稜線をとにかく進んでいきます。澄み渡る青空の下、なかなかキツイですが絶景を楽しみながら登り続けます。
8:10 小朝日岳
小朝日岳山頂です。山頂はだいぶ広いので休憩するにはうってつけです。360度視界良好・眺望良好で雄大な景色を眺めることができます。東北の名峰はほとんど眺めることができるのではないでしょうか。
なお余談ですが、大朝日岳からの眺めも良いですが、のんびりと眺めるには小朝日岳のほうが良さそうに思いました。「高い山から眺める景色」と「高い山を眺める景色」は違うんですよね。それに小朝日岳のほうが角度的に朝日連峰の稜線美を感じやすいように思いました。
さてここから大朝日岳に向かうわけですが、ここで一旦激下りします。稼いだ標高がみるみる下がっていくのは精神的に良くありませんね。なんだかんだしていると少しずつ平坦になり気持ちの良い稜線歩きに戻ります。眼前には大朝日岳とそれに続く稜線が美しく広がっています。目の前のように感じますがこれがまた長いんですよね。
9:25 銀玉水
大朝日岳に続く急登手前、おいしいと評判の水場で給水します。前述しましたがマジでおいしいのでおすすめです。ちなみに今回はウイスキーの水割り用にも使ったところ、口当たりが非常に滑らかになり、いつものウイスキーが倍以上においしく感じました。
さてここから最後の急登です。この時点でかなり疲労が溜まっていましたが、ゆっくりと一歩ずつ休みながら登っていきます。それにしても稜線がずっと美しくて本当に来て良かったなと思います。
10:00 大朝日小屋
大朝日岳の山頂直下にある大朝日小屋に到着です。収容人数は100人、2階建ての立派な避難小屋です。宿泊は協力金2,000円、トイレは協力金100円(宿泊者以外)で利用可能です。なお前述しましたが、この連休は大朝日小屋も漏れなく満杯だったそうです。
ここでまた余談ですが、今回一番学んだこととして、避難小屋の収容人数とは「ぎっちぎちに詰め込んでなんとか入れる人数」のことを表しているようです。したがって下界の感覚で収容人数を考えるととんでもない誤解となります。パーソナルスペースなんて皆無、快適性なんて皆無です。ダメな人は絶対にダメなんだろうなと感じました。私もどちらかというとダメなほうなので、混雑期の小屋泊は二度としまいと心に決めました。まああくまでも避難小屋なんでね、入れるだけマシと考えるのが正解ですよね。欲を言ってはいけません。
話を戻しまして、大朝日小屋で荷物をデポし、身一つで大朝日岳山頂へと向かいます。もうね、体が軽い軽い。それなりの斜度ですがサクサクと登っていけます。
10:20 大朝日岳
登山開始からおよそ6時間、大朝日岳山頂に到着しました。荷物があるだけかなりきつかったですが、鍛錬不足は否めません。山頂はご覧の通り、写真を撮る人や休憩する人で混雑していました。
眺望は言うまでもなく、360度の大パノラマです。これまでの登山ルート、これからの登山ルートが鮮明に確認できます。それにしても雄大、どこまでも続く稜線美に目が奪われます。
さて私もここで休んでも良かったのですが、ゆっくりできなさそうだったので小屋に戻って休むことにしました。とりあえずサクッと写真だけ撮っておきました。
11:15 中岳付近(山形商業山岳部遭難の地)
大朝日小屋から美しい稜線を歩いて30分程すると中岳です。厳密には三角点が登山道から若干外れるため実際には通過していませんが、登山道には「山形商業山岳部遭難碑」が建てられています。詳細は検索してみてください。
中岳から再び鞍部へと標高を下げ、西朝日岳に向かって登り返します。ここがまたなかなかの急登で疲労困憊の身体にはだいぶ堪えました。でもここさえ登ってしまえばとりあえず大きく登ることはありません。なお稜線はずっと綺麗なんですが、疲れて若干楽しむどころではなくなってきました。
12:10 西朝日岳
急登を上り終えるとようやく西朝日岳です。西朝日岳の立地的にこの度の周回ルートがグルっと見渡しやすいように感じます。竜門山と竜門小屋、寒江山から以東岳へと続く稜線がバッチリと視界に入ります。ここに来て本日のゴールがようやく見えてきました。登山開始から8時間近く経過していたこともあり、もう感無量です。ここから竜門山までは若干のアップダウンがあるものの気持ちの良い稜線歩きです。
13:00 竜門山
竜門山では見落としたのか、三角点や標識がなく案内標識だけで拍子抜けです。さてあとは小屋に向かって下るだけですが、なぜか意外と遠く感じます。
13:10 竜門小屋
つ、ついた。登山開始からおよそ9時間、ようやく竜門小屋に到着です。長かった。荷物のせいもあって非常に疲れました。
竜門小屋は収容人数が50人、2階建てのこれまた立派な避難小屋です。管理人さんの滞在期間中は水を引いてくれているため水場に困りません。大変ありがたいことです。宿泊は協力金2,000円、トイレは協力金100円(宿泊者以外)で使用可能です。
早速小屋内に入るとすでに30人くらいおり「うわっ」と思いましたが、それ以上に相手方も「うわっ」と思ったに違いありません。結局日が暮れてからもポツポツ来られ、収容人数のギリギリ或いはオーバーくらいには人で溢れていました。もはや収容所です。足が伸ばせるだけありがたかったですが、最終的には階段や土間コンクリート、トイレ前等で横にならざるを得ないくらいでした。くどいようですが、もう二度と混雑期の小屋泊はしません。今回はこの一件が一番の経験と反省になりました。
竜門小屋
さて寝床を準備したらやや遅めの昼食の時間です。マルタイラーメンと煮卵とチャーシューが激うまでした。ナッツをおつまみにウイスキーをいただきます。水割りには銀玉水の天然水を使用。これが本当に美味しくて持って帰りたいくらいでした。
食後、疲れてウトウトするも交感神経が高ぶって眠れません。なんだかんだしていると夕暮れの時間になり外へ出てみるとガスに包まれていました。太陽があっという間に西の空に吸い込まれていき、それとともに暗くなってきます。
翌日も早かったので早々に床に就きます。夜中は寒いかなと思って厚着をしていましたが、幸か不幸か人が多かったこともありかえって暑いくらいでした。いびきの合唱や息苦しさ(人が多くて酸素が薄い)で熟睡できずに何度も起き、寝返りしたくてもトイレに行きたくても身動きしづらく、とにかく苦しい夜を過ごしました。
2日目に続きます。
朝日連峰について
朝日連峰は山形県と新潟県との境に位置しています。標高1870mの大朝日岳を主峰とし、西朝日岳、竜門山、以東岳までの15kmを主稜としています。東北地方では最大のスケールを持ち、山腹を刻む谷は深く「東北のアルプス」と称され、多くの登山者に愛されています。また大朝日岳は日本百名山の一つに数えられその中でも人気の高い山としても知られています。
大朝日岳への登山口は主に4つあり、今回の日暮沢口、古寺口、朝日鉱泉口、白滝口が挙げられます。最短は古寺口ですが5時間半ほど、最長は朝日鉱泉口で8時間ほどを要します。バリエーションが多いためどれにするか悩ましいところですが、やはり自分の体力に合ったルートを基準に選択するべきでしょう。
今回の日暮沢ルートは健脚であれば日帰り周回も可能ですが、さすがにそれではもったいないため、やはり小屋泊が望ましいと言えます。もちろんその分の荷物が増えてハードになりますが、その努力に見合うだけの素晴らしい景色が堪能できます。
とはいえやはり混雑期の小屋泊は難易度が高いです。かといって幕営も禁止されているため、小屋泊の際はタイミングが重要となります。大人気の山なので全国各地から登山客が押し寄せます。のんびりと過ごしたい場合はタイミングをずらしたり、あるいは日帰り登山にしたりして臨機応変に対応する必要があるかもしれません。