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【飯豊連峰】丸森尾根→梶川尾根、残雪とハクサンイチゲの縦走・周回登山|2024年5月18,19日(初日)

登山

飯豊連峰の登山を検討中の方
『春の飯豊連峰の登山ってどんな感じだろう。なにか情報があれば教えてほしい。』

この記事は備忘録ですが、少しでも参考になれば幸いです。

本日の内容

  • 感想
  • スケジュールなど
  • 装備品
  • 登山ルート
  • 飯豊連峰について

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感想


憧れていた残雪期の飯豊連峰、ようやく1泊2日で行ってくることができました。天候は両日ともに晴天で申し分なく素晴らしい眺望が拝めましたが、両日ともに稜線上は爆風でした。したがって朝夕は震えるほど寒く、残雪期の山の厳しさを身をもって知る機会となりました。

今年は雪解けが早く、所によってはすでにハクサンイチゲが見頃となっていました。話によると例年よりも2週間ほど早いとのことです。頼母木山には固有種であるイイデリンドウもポツッと咲いており、他にも道中に様々な山野草を眺めることができました。

さて初日は丸森尾根から地神北峰まで登り、最近解禁した頼母木小屋の水場で水分補給した後、門内小屋まで縦走して宿泊しました。2日目は早朝に北股岳までピストンした後、梶川尾根から下りてきました。

当日は石転び沢から登る方が多かったようで、丸森尾根や梶川尾根から登る方はわりと少なかった印象です。いずれも中腹以降は所々夏道が出ていましたがまだまだ残雪があり、慣れていない自分にとってはGPSがないとコースロストしてしまう箇所がいくつかありました。

両日ともにアイゼンを履かずともストックとキックステップで上り下りすることができましたが、時間帯や天候によっては難しい場合が予想されるため装備としては必須だと思います。特に地神山北峰への急登には残雪がたっぷりで、巻かずに上り下りするのはかなりハイリスクだと感じました。

それにしてもね、通称「飯豊連峰に通うマン」たちの鉄人というか達人というか、変人っぷりには度肝を抜かされました。すれ違う方や小屋で一緒だった方とお話していると「マジかよ」って思うことが多々あります。自分とはレベルが違い過ぎて、とにかくぶっ飛んでる方が多かったです(尊敬)。きっとそういう方々が好む山域なのでしょうね、飯豊連峰というものは。

ひとつ挙げると、東俣彫刻公園から朳差岳を経由して地神山まで縦走した後、ピストンで帰ってくるというものです。この行程が日帰りですよ、びっくりして思わず聞き返してしまいました。「ナイトハイクすれば意外と行けますよ」と言われましたが「それはあなただけです」と心のなかで思った次第です。

でもおかげさまで、とても刺激的で大満足な山行となりました。私も「飯豊に通うマン」と呼ばれるように鍛錬を続けたいと思います。

スケジュールなど

【日にち】2024年5月18,19日
【天候】晴れ、稜線は暴風
【気温】日中20℃前後、夜中5℃前後
【登山ルート/時間/距離】
 初日:丸森尾根ルート→頼母木小屋→門内小屋/6時間40分/9.6km
 2日目:門内小屋↔北股岳→梶川尾根ルート/5時間/11.0km
【電波状況】稜線は概ね圏内(docomo)
【残雪】中腹以降は残雪あり

装備品

・ドイター エアコンタクトライト 50+10
・シートゥーサミット ウルトラ シル デイパック
・ザ ノースフェイス アリューシャン4
・サーマレスト スリープライナー
・NEMO テンサー
・シートゥーサミット エアロプレミアムピロー
・ミレー ティフォン 50000 ウォームストレッチジャケット
・ミレー クータイ II ウール ジップ ロングスリーブ
・ミレー アンダーウェア ドライナミック メッシュ ノースリーブ
・ミレー アンダーウェア ドライナミック メッシュ 3/4 タイツ
・モンベル ガイドパンツ ライト
・モンベル キャップ
・サングラス
・シナノ トレッキングポール アルミ 125
・スポルティバ トランゴ テック レザー GTX
・アイゼン:モンベル 12本 セミワンタッチアイゼン
・固形燃料
・EPIシングルチタンマグ
・ソーヤープロダクト ミニ浄水器
・着替え
・食料、非常食
・水(1.5ℓ)※頼母木小屋の水場、門内小屋の雪解け水で適宜給水
・エマージェンシーシート
・カメラ:Nikon D40
・レンズ:AF-S DX NIKKOR 18-70mm f3.5-4.5G ED

登山ルート


初日:丸森尾根ルート→頼母木小屋(給水)→門内小屋(宿泊)
2日目:門内小屋↔北股岳→梶川尾根ルート

※都合上、横向きにしてあります。見づらくてすみません。

4:50 丸森尾根ルート登山口~のぞき付近





ほんの数日前、飯豊山荘までの冬季通行止めが解除となりました。到着時はまだ薄暗かったものの、あっという間に陽が昇って梶川峰が明るく照らされてきました。飯豊山荘はまだ冬季休業中のようですが、トイレと水道は使える状態でした。

さて登山届を書いたら登山開始ですが、開始一歩目からド急登でビビりました。完全にウォーミングアップするタイミングを逸したまま始まり、加えて寝不足の身体には堪えます。

所々傾斜が緩みますがとにかくずっと急登です。そのおかげで一歩進むたびに、ぐんぐんと標高を上げていくのがわかります。ふと左側に目をやるとこれまた変態急登な梶川尾根が目に飛び込んできます。その先にはド迫力な梶川峰がそびえています。あれはヤバいなと思いつつ、結果的には丸森尾根から登って正解でした。

5:20 のぞき付近~丸森峰





標高およそ760mののぞき付近では、さらに梶川峰が迫ってきます。のぞきから丸森峰まで、ほんの少しずつ傾斜が緩んできますがキツいことには変わりません。丸森尾根唯一の夫婦清水はまだまだ雪の下でよくわかりませんでした。

所々夏道が露出していますがこの辺りから残雪が増えてきます。少し広けた場所に残雪があると不慣れな方はコースロストしやすいと思います。GPSおよび先行者の踏み跡があったので問題ありませんでしたが注意が必要でしょう。

7:40 丸森峰~地神北峰(厳密には巻いたので北峰より頼母木山側)








丸森峰がちょうど森林限界でしょうか。視界が一気に開けて右には朳差岳、左には梶川尾根が美しくも雄大に広がっています。所々笹藪が露出しており残雪がゼブラ模様と化しており、春山だなと感じさせてくれます。

ここから地神北峰まで大残雪&ド急登を進みますが写真以上に急登です。アイゼンはなくともストックとキックステップで問題なく登れましたが、時間帯や天候によっては必須かもしれません。

地神北峰手前はドン引きレベルの急登でとても登れそうにありませんでした。したがって笹藪との境界というか笹藪を踏みながら巻き気味で登り詰めることにしました。ちなみに地神北峰付近の笹藪手前で頼母木山方面に残雪部を抜けて行けます。こちらのほうが明らかに楽ちんなのでおすすめです。

8:25 地神北峰(厳密には巻いたので北峰より頼母木山側)~頼母木小屋





朳差岳へと続く稜線、なんと美しいことでしょう。でもものすごい暴風で、立っているだけでも煽られるくらいです。とりあえずここで重いザックをデポし、水分補給のため頼母木小屋の水場に向かいます。稜線上には例年より2週間ほど早くハクサンイチゲが咲いています。「雨が降った後の晴れ間」に一斉に咲き始めるとのことで、当日は絶好のタイミングだったようです。ちなみに頼母木小屋~朳差岳間が一番咲いていたみたいです。

9:00 頼母木山小屋




ということで頼母木小屋で小休止です。ちょうど最近水場が解禁になったとのことでありがたく使わせていただきました。加えてバイオトイレも使えるようになっているのでありがたい限りです。青い空に赤い屋根が映える小屋ですね。この日の宿泊者は8名だったそうです。

9:35 頼母木山小屋~地神山



小休止したら再出発です。途中でデポした荷物を回収して地神北峰へ向かいますが、ここから丸森尾根を上り下りするのは改めてハイリスクだなと感じました。どこまでも続く稜線をひたすら進みます。

10:35 地神山~門内小屋







なんだかんだで地神山です。標高が一段階上がるので遠くまでさらに良く見渡せます。門内岳と門内小屋も見えてきました。明日の下山ルートの扇ノ地紙、胎内山を過ぎると目前です。門内岳から北股岳、烏帽子岳へと続く稜線がなんとも美しい。門内沢にもまだまだ多くの残雪がついているのがわかります。門内小屋手前には水場というか雪解け水が溜まっていますが、これを使うにはちょっと勇気がいりますね(結局煮沸して使いました)。

11:30 門内小屋









ということで本日の宿、門内小屋に到着です。管理人さんはまだいらっしゃいませんが、バイオトイレが使えるようになっているのでありがたいです。2階建てで収容人数は30人とのことです。山小屋利用協力金の2,000円を収めます。

ところでこの2日間「どこに泊まるの?」と聞かれる度に「門内小屋です」と答えると、皆さん口をそろえて「門内小屋は空いているからいいね」と言われます。最初その意味がわかりませんでしたが、なるほど水場がないんですよね。

いやまあ厳密にはありますが、先ほどの水溜まりを使うことになります。したがって自然と綺麗な水場のある頼母木小屋や梅花皮小屋が人気となり、門内小屋は通過点になってしまうのが現状のようです。まあでもそのおかげで穴場小屋となり、実際この日は私を含めて3名しかいませんでした。

ささっと着替えて寝床を作ったら昼食です。もうね、何を食べてもうまいんですよ。とにかく少しでも炭水化物とタンパク質を補給します。脂質やビタミン補給にはナッツ&ドライフルーツがいいですね。前回の佐渡島縦走登山でも大活躍でした。ちなみにナッツは無塩がおすすめです。

18:30 門内岳山頂




相変わらずの暴風ですが爆焼け目当てに山頂へと向かいます。オレンジ色に染まる飯豊連峰がとても美しいです。胎内尾根やクラシックルート、二王子岳や水田、日本海からの佐渡島など、雄大な景色を眼前に沈みゆく夕日を眺めます。これまたなんと美しいことでしょう。つかの間のとても良い時間でした。良い時間ではありましたが、暴風によってすっかり冷え切ってしまいそそくさと小屋に逃げ下りました。

今回の寝具はスリーシーズンのシュラフとスリープライナーでしたが、明らかに不足していたためエマージェンシーシートを追加してザックに足を突っ込んで寝ました。まあはっきり言って失敗でした。おとなしく冬用のシュラフにするべきだったと強く反省しました。

これでも寒かったため、クリアボトルに熱湯を入れた即席湯たんぽを突っ込んで寝ました。湯たんぽが効いているうちはかなり暖かかったですが、夜中にはその効果も薄まりブルブルと震えながら丸まって寝ることになりました。夏に向かう途中の寒さだったので耐えられましたが、冬に向かう寒さだったら耐えられなかったかもしれません。山をなめてはいけませんね。大反省。ちなみに夜中の室温は5℃前後だったと思います。

2日目に続きます。

飯豊連峰について


飯豊連峰は新潟県、山形県、福島県の3県にまたがる、飯豊本山を主峰とする東北アルプスの異名を持つ大隆起山塊です。2000m級のピークは大日岳を最高峰に飯豊本山、西大日岳、梅花皮岳、烏帽子岳、御西岳、北股岳の7座を数えます。

北から南に20kmにおよぶ山脈を形成しており、主なピークは北から朳差岳、鉾立峰、大石山、頼母木山、地神山、門内岳、北股岳、梅花皮岳、烏帽子岳、御西岳、大日岳、飯豊山、種蒔山、三国岳です。ピークの数を聞いただけでも飯豊連峰の圧倒的な山深さが感じられるかもしれません。

さて今回登った門内岳は北股岳の北西にあり、山形県と新潟県の県境に位置しています。山頂の北側は時期になるとハクサンイチゲやニッコウキスゲ、チングルマで覆われるとのことです。

山頂のすぐ麓には門内小屋があり、盛期には管理人が常駐しています。頼母木小屋や梅花皮小屋のような綺麗な水場がないため人気薄ですが、だからこそ穴場小屋としてゆっくりしたい方にはおすすめかもしれません。時期によっては使えませんがバイオトイレが使えるのもありがたいです。

地神山は扇ノ地紙を経由して門内岳へと続く稜線を形成しています。地神山の由来は測量時にミスによるものだそうで、本来はシシノマナコノ峰と呼ぶそうです。それを測量時に隣の扇ノ地紙と誤ってしまった上、地紙の漢字を地神としてしまったのが由来らしいです。

北股岳は飯豊連峰のほぼ中央で、南に傾いた笠形の名峰です。標高は飯豊連峰中3番目の高さを誇ります。山頂には飯豊本山に向かって鳥居が建てられているため、是非山頂から覗いていただきたいと思います。山頂から南に下ると石転び沢ルートと交わる十文字鞍部があり、ここに梅花皮小屋があります。50人ほど収容可能で水場もあり、盛夏には管理人が常駐している人気の山小屋です。

ところで飯豊連峰の全山縦走に憧れる方も多いことでしょうが、常軌を逸した健脚であれば1泊2日、健脚であれば2泊3日、一般的には3泊4日を要するほど深い山です。山小屋が点在していますが基本的に自炊ですし、もちろん水場も限られているため、それ相応の気力と体力と覚悟と計画性がないとクリアするのは難しいと言えます。

まあそんなわけで飯豊連峰は知名度のわりに、アルプスなんかと比べると人の気配が少ない山域です。山深いこととに加え、単純にアクセスが悪いことも影響しています。それでも足蹴よく通う、通称「飯豊に通うマン」が存在する辺り、やっぱり魅力的な山なんだと感じる次第です。

最後に一言、いいではいいで~