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【御神楽岳】蝉ヶ平登山口からハードな晩秋登山|2023年11月3日

登山

御神楽岳の登山を検討中の方
『御神楽岳ってどんな感じだろう。なにか情報があれば教えてほしい。』

この記事は備忘録ですが、少しでも参考になれば幸いです。

本日の内容

  • 感想
  • スケジュールなど
  • 装備品
  • 登山ルート
  • 御神楽岳について

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感想

御神楽岳
5年ぶり2度目の御神楽岳、蝉ヶ平登山口からのピストン。記憶には残っていましたが、やはりスーパーハードでデンジャラスな山岳でした。また行くかと聞かれたらもう行かないと思います。今のところ。行くにしても下りは室谷ルートを選択すると思います。

序盤から巨大な落石・崩落現場を通過し、足場が若干ぬかるんで一歩踏み外したら滑落するほど狭い登山道を進まなければなりません。湯沢の出会から本格的な激登りがスタートしますが、最初の鎖場(というかロープ場)では滑りやすい岩場を慎重に進みます。

その後も長い鎖場やナイフリッジに細尾根、掴みどころの少ない岸壁をよじ登ったりと、かなりアクティビティ満載なルートを経て山頂にたどり着きます。

さて上ったからには下らなければなりません。室谷ルートに回避もできますが、まあね、やっぱりピストンしたかったので同じルートから下山します。しかしこれがまた大変で、上るのはキツいけどまあ大丈夫なんですよね。下りのほうが足場の悪さから恐怖心と慎重さが求められ、まったく気が緩められません。肉体的にも精神的にももの凄く削られます。

正直、何度滑って転んだかわかりません。とにかく掴まれるものに掴まり、全身の筋力をフル活用して下山しました。そのせいで登山とは思えないくらいの全身筋肉痛になりました。

クライミングなどで慣れている方であれば全然問題ないのかもしれませんが、ハッキリ言って万人向けの山岳ではありません。特に蝉ヶ平ルートのピストンは難易度がかなり高く、キツくて大変危険なためおすすめできません。

とまあなんだかネガティブなことばかり書いてしまいましたが、とにかく尾根から眺める大岩壁が圧倒的です。眼前にドカーンと壁が立ちふさがる感じ、下越の谷川岳とはよく言ったものです(行ったことないけど)。湯沢奥壁のような巨大スラブにも間違いなく圧倒されます。

落葉こそ進んでいましたが、今年はそれでもまだポツポツと残っており、紅葉+岸壁のアートを思う存分堪能できました。スリリングでエキサイトしたい方は一度訪れてみても良いでしょう。おすすめしませんけど。

スケジュールなど

【日にち】2023年11月3日(金)
【天候】晴れ
【気温】登山口13℃
【登山ルート】蝉ヶ平↔御神楽岳山頂
【時間】9時間40分(上り5時間20分、休憩50分、下り3時間30分)
【電波状況】尾根に出るとおおよそ圏内(docomo)
【紅葉】おおよそ落葉
【積雪】なし

※GoogleMapを3Dで眺めると形状が非常にわかりやすいです(PCのみかもしれません)。

装備品

・ミレー ティフォン 50000 ウォームストレッチジャケット
・ミレー モンテローザ パンツ ネオ
・ミレー ライトグリッドジャケット
・モンベル ウイックロン ZEO ロングスリーブ ジップシャツ
・ミレー アンダーウェア ノースリーブ ドライナミック メッシュ
・モンベル ゴアテックス ライトスパ
・グローブ
・サングラス
・キャップ
・ラ・スポルティバ トランゴテックレザー GTX
・着替え
・行動食
・水(2ℓ)
・カメラ:Nikon D40x
・レンズ:AF-S DX Zoom NIKKOR 18-70mm f3.5-4.5G IF ED

登山ルート

御神楽岳
蝉ヶ平ルート↔御神楽岳山頂

6:20 蝉ヶ平登山口~湯沢の出会

御神楽岳
御神楽岳
御神楽岳
御神楽岳
御神楽岳
詰めればここに5台は駐車できます。手前にも2~3台停められるので、駐車できるのは最大8台くらいでしょうか。とはいえ普通車が多いと厳しくなりますね。

さて明るくなったところで出発します。まずは湯沢の出会まで沢沿いの細い登山道を進んでいきます。ぬかるみや落葉で滑りやすかったり、切れ落ちていたり、足元が雑草で見えづらかったり。アップダウンこそありませんが、序盤からいきなり気を遣います。

途中で3,4箇所の小川を渡渉しますが、ここがまた見事にツルツル。滑り落ちないようにロープや草木を頼りに慎重に渡ります。

7:40 湯沢の出会~高頭

御神楽岳
御神楽岳
御神楽岳
御神楽岳
御神楽岳
御神楽岳
御神楽岳
御神楽岳
御神楽岳
御神楽岳
湯沢の出会では綺麗な渓流で水分を確保できます(帰りに生水を飲んだけど今のところ大丈夫)。ここは昔から沢登りの方々が拠点にしているところです。テントも張れるし水場もあるし好都合なのでしょう。ちなみにこの日は濃霧で見れませんでしたが、晴れていればここから高頭が目視できます。ここから、いよいよ栄太郎新道の本格的な激登り開始です。標高300mから標高950m程度まで一気に登っていきます。

濃霧に包まれたブナ林にて、ブナに矢印やピンクテープが貼られていますが一瞬迷いそうになりました。滑りやすい岸壁に添えられたロープを頼りによじ登り、高度をどんどん上げていくと尾根に出ます。尾根を進んでいると深い谷底に溜まっていた霧が少しずつ抜けていき、高頭から湯沢の頭にかけた岸壁が姿を現わしてきました。これは凄いですよ。ずっと濃霧で隠れていた全貌が眼前に広がり圧倒されます。

たぶんここが最初の撮影ポイントかもしれません。休憩がてら、私もしばらくその姿を撮っていました。岸壁と紅葉がベストマッチでかっこいいんですよね。遠くに雲海も良く見えました。

長めの鎖場、馬の背の岩稜を股ずりでクリアし、高頭手前の急登を上ります。ここがまた滑りやすく足をかけるところが少ないため、草木にしがみついてよじ登ります。

9:40 高頭~湯沢の頭

御神楽岳
御神楽岳
標高950m程度の高頭から標高1,100m程度の湯沢の頭までが近いような遠いような、いや普通に遠いですね。左側下に広がるスラブを眺めながら細尾根をひたすら進んでいきます。左右どちらを見てもとにかく急峻な山域だと感じます。なお、この辺りから藪化が気になり始めます。

10:25 湯沢の頭~雨乞峰

御神楽岳
御神楽岳
御神楽岳
標高1,100m程度の湯沢の頭に到着すると、ようやく御神楽岳山頂が目視できます。いやいや遠かった。そしてここからもまた遠い。「まだあるのかよ…」と、前回はここで絶句した記憶があります。

御神楽沢奥壁燕返しの岸壁下に万年雪が見られるはずですが、今年は溶けてしまったように見えます。景色を堪能しつつも、ゴジラの背中のような尾根を力を振り絞って進みますが、雨乞峰直下がまた急登なんですよね。

11:25 雨乞峰~御神楽岳山頂

御神楽岳
御神楽岳
長かった…ここまで来たらもう安堵。雨乞峰は室谷ルートとの合流地点となっています。時間や体力の都合、単純に危険回避のためにも室谷ルートで下山する選択肢は全然ありです。ここから山頂までわずかですが、おそらくいつ行っても登山道がぬかるんでいたり、水たまりになっています。

11:40 御神楽岳山頂

御神楽岳
御神楽岳
御神楽岳
標高1,386.5m、5年ぶり2度目の御神楽岳山頂に到着しました。キツかっただけに感動はひとしおです。山頂は若干草木に囲まれていますが360°見渡せます。少しモヤモヤしていたので遠くの山は霞んでいましたが見ごたえは十分です。山頂は意外と狭く、10人前後がいっぱいいっぱいでしょう。とはいえそんなに人数が集まるような山ではないから問題なしです。

12:30 下山開始

なんだかんだ50分ほど休憩してから下山を開始します。登山道が登山道だけにガシガシ下りていくことは困難であり、それなりに時間がかかることが予想されました。もう少しゆっくりしたかったのですが止むを得ません。急げるところは急ぎつつ、慎重になるべきところは慎重に進んでいきます。

16:00 蝉ヶ平登山口

御神楽岳
御神楽岳
結局、何度も滑って転びつつなんとか夕暮れ前に下山できました。湯沢の出会の渓流で水分補給として生水を飲みましたが今のところ無事です。沢登りガチ勢と思われる集団とすれ違いましたが、彼らは湯沢の出会でテン泊して翌日アタックすると話していました。すごい。

今回はまあなんとか無事に下山することができましたが、特に下山の際は真面目に室谷ルートを選択肢に入れたほうが良いと感じました。改めて、上るより下るほうが遥かに難易度が高いと再認識した山行となりました。

下山後はみかぐら荘で汗を流します。無色透明無臭のように感じましたが、ちょっぴり熱めでかなり温まりました。

御神楽岳について

御神楽岳
下越の谷川岳と称される御神楽岳は、阿賀町と福島県の県境近くに位置します。標高は1,386.5mと低いですが、沢や岸壁、スラブなどの険しさと美しさで見る者を引き付けて止みません。春のブナ林や秋の草紅葉もさることながら、夏の沢遡行や冬の岩稜登攀に縦走など、一級アルペンへの基礎を作るのには十分過ぎるポテンシャルを秘めています。

新潟県側からの登山ルートには蝉ヶ平ルート(栄太郎新道)と室谷ルートがあります。蝉ヶ平ルートは岩稜や鎖場が多く、熟達者向けのルートです。下りでは十分に注意して進む必要があります。全体的に年々ヤブ化が進んでいます。室谷ルートはブナ林が美しくて歩きやすく、御神楽岳がより近くなりました。一方、福島県側からは霧来沢、本名御神楽岳から御神楽岳山頂に通じるルートがあります。

参考資料

新潟県山岳協会:新潟100名山+10, 新潟日報事業者, 2020