【二王子岳】圧倒的な景色に魅了される、厳冬期の里山登山|2023年2月23日
二王子岳の登山を検討中の方
『厳冬期の二王子岳ってどんな感じだろう。なにか情報があれば教えてほしい。』
この記事は備忘録ですが、少しでも参考になれば幸いです。
本日の内容
- 感想
- スケジュールなど
- 装備品
- 登山ルート
- 二王子岳について
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感想
念願だった厳冬期の二王子岳。タイミングが合い、ようやく登ることができました。話に聞いていた以上に、写真で眺めていた以上に素晴らしい眺望でした。「最高」の一言。
冬山初心者の私にとって難易度はかなり高かったですが、幸いにして先行者が多く、その点だけでも安心して登ることができました。稜線に出ると強風~爆風が吹き荒れるなか、これまた幸いにしてホワイトアウトすることもなく、山頂に近づくと青空まで出てきました。
つかの間の晴れ間でしたが、厳冬期の飯豊連峰が眼前にばっちりと広がっており、とんでもないサイズのエビの尻尾も見ることができました。厳冬期の山の様相は、夏季のそれとはまったく異なります。冬ってすごい、標高1,420mの世界ってすごいと、改めて感じた次第です。
スケジュールなど
【日にち】2023年2月23日(木)
【天候】曇り時々晴れ、稜線は爆風
【気温】0°以下
【登山ルート】南俣集落↔二王子岳山頂
【時間】7時間20分(上り4時間40分、休憩20分、下り2時間20分)
【電波状況】基本圏内だが天候次第で圏外(au)
【積雪】五合目の定高山にて4.5m
装備品
・ミレー ティフォン 50000 ウォームストレッチジャケット
・ミレー モンテローザ パンツ ネオ
・ミレー ライトグリッドジャケット
・ミレー ロングスリーブシャツ
・ミレー アンダーウェア ノースリーブ ドライナミック メッシュ
・モンベル スーパーメリノウール ラウンドネック(厚手)
・モンベル メリノウール トレッキングソックス
・モンベル フェイスネックゲーター
・モンベル ゴアテックス ライトスパッツ ロング
・テムレス 防寒グローブ 02winter
・サングラス
・ニット帽
・ヘッドライト
・テクニカ トレッキングシューズ
・スノーシュー:TUBBS MOUNTAIN 25
登山ルート
おおよそは夏季ルートと似ていますが、もちろん冬季ルートが存在します。夏季はまあ通ることがない横道や尾根を歩くことになるので、私のような冬山初心者はトレースがなければ無理をしないほうが賢明です。稜線に出てしまえば、ホワイトアウトさえしなければ、ルートを誤ることはないように感じます。
「〇合目」などの標識はほぼ雪の下です。ポイントポイントに竹棒の目印やピンクテープが用意されているので、それを頼りに進みましょう。とはいえ繰り返しますが、自信がなければ引き返すべきです。冬山は引き返してナンボくらいの気持ちで挑むことをおすすめします。なお冬季ルートはクボッチさんのYAMAPをご参照ください。
6:10 南俣集落(駐車場)~二王子神社
2023年2月23日は天皇誕生日のため祝日。早く着いたつもりでしたが、想像以上に先客がいらっしゃいました。南俣集落の奥、基本縦列駐車で30台くらい停められる感じです。ぎりぎりすれ違える程度の道幅しかないので、譲り合って上手に停めましょう。登山口付近の住民の迷惑にならないように、くれぐれも配慮しましょう。
さて、夏季であれば二王子神社まで自動車で行けるところですが、冬季はそこまで徒歩です。ウォーミングアップついでに頑張って歩きましょう。とはいえ長い、遠い。所々冬季ルートで進みます。間違えても着きますが、遠回りになるので、間違えないように注意しましょう。最後に冬季しか通ることがないであろう赤い橋を渡り、二王子神社に到着です。
7:00 二王子神社~一合目
私はここでスノーシューを履きましたが、トレースがしっかりしているので五合目(定高山)くらいまではツボ足でも大丈夫そうでした。他の登山者を見てみると、スノーシューもしくはワカン、ツボ足が半々くらいでした。
夏季ルートと同じく、しばらく杉林を進みます。ただ南俣集落から歩いてきたせいか、この時点で異常に疲れてしまいました。そんなに急登ではないのですが。
7:25 一合目~三合目付近
一合目を過ぎてしばらく進むと、冬季ルートに分かれて直登が始まります。冬季ルートで言うところの三合目付近までは急登です。達人風の方々はツボ足でグングン登っていきますが、私はとても付いていけません。休みながら少しずつ進んでいきます。
8:10 三合目付近~四合目
なんとか登り切ると三合目付近で開けます。一息つくのにちょうど良い場所でしょう。ここから四合目まではわりとなだらかに感じます。
8:30 四合目~五合目(定高山)
四合目以降、ブナ林が続きます。この辺りは夏季ルートと同じです。
8:45 五合目(定高山)~六合目
ようやく五合目の定高山に到着です。想像以上に疲れました。多少の自信はありましたが、さすがに無雪期のようにはいきません。定高山の積雪は4.5mです。多いのか少ないのかわかりませんが、単純に普段より4.5mも高い所を移動していると思うとなんだか不思議な感覚です。
五合目から10分くらい進むと視界が開けてきます。前方には二王子岳山頂付近、手前は少しずつ霧氷がついてきます。写真はありませんが朝日連峰も確認できました。シルクのような、ミルキーな雪上を登っていくと稜線に出ます。稜線に出ると守門岳や粟ヶ岳方面の山々も確認できます。この辺りで一気にテンションが上がります。
9:25 六合目~七合目(油コボシ)
六合目の目印(竹棒)は稜線上、というかこれ以降の目印はすべて稜線上です。これまで感じなかった風が急に強くなり、じっとしていると体温を奪われる感じです。トレースも所々消えているため慎重に進む必要があり、ホワイトアウトするとコースロストしやすい場所でもあるので、決して無理をしてはいけません。
六合目から10分くらい進むと、いよいよ二王子岳の山容があらわになります。こんもりと雪を被った山容は優しくて美しい、でも環境の厳しさも感じる凍てついた世界です。じっとしていると寒くなりますが、夢中で写真を撮りまくりました。めっちゃ綺麗。
大きな雪庇付近を進んでいくと、いよいよ難関の油コボシ。正直、夏季の油コボシはまったく大したことありませんが、冬季は全然違います。近くで見ると大きな壁のようにも感じます。吹き付ける強風に負けないように、滑り落ちないように一歩一歩登っていきます。
雪面はややガリガリ、トレースも消えている箇所が多いです。見通しさえ良ければ問題ないと思いますが、くれぐれも慎重に進みましょう。風紋など、自然の芸術を楽しむこともお忘れなく。
9:50 七合目(油コボシ)~九合目(電波塔)
油コボシを登り切ったところが七合目。目印の竹棒にはなかなか立派なエビの尻尾ができています。ここまで来たら、あとはおおよそ穏やかな稜線歩きです。
所々に竹棒の目印が刺さっているので、ホワイトアウトさえしなければコースロストすることはなさそうです。それにしてもめちゃめちゃ綺麗。とても気持ちの良い稜線歩きです。白い丘の上を空中散歩しているような感覚になります。これはハマる。
10:40 九合目(電波塔)~二王子岳山頂
九合目の電波塔まで来たらゴールは目前。電波塔には巨大なエビの尻尾ができていました。50cm以上あるかな。自然の芸術品ですね。爆風が吹き荒れていますが、気づいたら青空が出てきました。
10:50 二王子岳山頂で小休止
無事、厳冬期の二王子岳に登頂しました。もう大感激。山頂のシンボル「青春の鐘」にも立派なエビの尻尾ができており、その視線の先には雄大な飯豊連峰がそびえ立っています。やや雲がかっていますが、大日岳から朳差岳まで全容が確認できます。
写真を撮ったり、しばらく眺めていたり、避難小屋でお昼ご飯を食べたり、登山者は思い思いの時間を過ごしていました。私もずっと眺めていたくなりました。厳冬期の山ってのは、魅力がいっぱいです。
11:20 下山開始~南俣集落(駐車場)
20人くらい収容できる避難小屋ですが、この日はわりといっぱいでした。小屋内の写真はありませんが、ストーブまで用意されているので利用者にとってはありがたい限りです。灯油は持参のようですが、これくらいの時期だとむしろ余らないようにどんどん使ってほしいのだと、管理人さんらしき方がおっしゃっていました。
私も小休止でお邪魔しましたが、ほんの15分くらいの間にガスってきました。山の天候は変わりやすいです。晴れ間のタイミングで登頂できて良かったなと思いました。ホワイトアウトはしていなかったので、様子を見て下山を開始しました。同じタイミングで出発したバックカントリーの青年と会話しましたが、なかなか慣れていらっしゃるようで、颯爽と滑っていきました。かっこいい。
13:40 南俣集落(駐車場)
スノーシューのおかげで、ずんずん下りて来ることができました。ただ、やはり急登や中途半端なトレース上は足が取られて歩きづらいです。ワカンの方が良かったかもしれません。二王子神社から南俣集落までは異常に長く感じますが、無事下山することができました。
余談ですが、途中から知らないおじさんと談話しながら下りてきました。その昔、おじさんは夏季なら90分くらいで登っていたのだそうです。それだけでも凄いことですが、正月にはツボ足にて3時間で登ったと豪語しておりました。本当かよと思いましたが、どうやら本当のようです。二王子岳には、とんでもない鉄人がいらっしゃるようです。さすが信仰の山。
二王子岳について
新発田市と胎内市にまたがる飯豊連峰の前衛峰が二王子岳です。天候さえ良ければ山頂からの飯豊連峰の展望は圧巻で、その大パノラマに魅了されてこの山に登る人も多いようです。
残雪期や無雪期にも登ったことはありますが、厳冬期の二王子岳は飛び抜けて美しい。絶景とはこのことです。ただし、厳冬期は気軽に登れる山ではありません。天候の確認、コンディションの調整、十分な装備、できれば慣れた方と同行するべきでしょう。