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【中ノ岳】紅葉進む、急登続きのハードな日帰り登山|2025年10月12日

登山

中ノ岳の登山を検討中の方
『秋の中ノ岳の登山ってどんな感じだろう。なにか情報があれば教えてほしい。』

この記事は備忘録ですが、少しでも参考になれば幸いです。

本日の内容

  • 感想
  • スケジュールなど
  • 登山ルート

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感想


「この山に登らずして越後の山は語れず」という格言があります。正直本当の意味はよくわかりませんが、一つ考えられるのは、新潟の山は基本的に登山口の標高が低い傾向にあり中ノ岳ももれなくそれに該当します。標高450mから2,850mまで一気に上りつめるため、距離のわりにめっちゃきついです。この格言はそれを表したものなのかもしれません。新潟の山ではラスボス級に大変です。本当に。

ということで今回は紅葉が進む中ノ岳に登ってきました。3年前に一度訪れたことがありましたが、そのときは丹後山から1泊2日の周回登山であったため中ノ岳は下山で通っただけでした。その際の記憶でも「とんでもない斜度だなあ」「登りで使いたくないなあ」なんて感じた経験があります。

まあ実際とんでもないです。「たおやかな山容が特徴」とは言われますが、そんな表現に似つかわしくないくらいにはキツいです。中ノ岳は越後三山の最高峰であり、ネームバリュー的には越後駒ヶ岳や八海山に一歩及ばないかもしれませんが、その存在感は伊達ではありません。

開始一歩目から急登が続き、中盤こそ一旦緩むものの再び急登を登り詰めて山頂となります。迷うような道もなければ危険箇所もほとんどないため、そういう意味では登りやすいかもしれませんが、とにかくずっと急登との格闘です。

水場は一応ありますが、今回は確認しておらず特に夏場は枯れていることもあるらしいので要注意です。中盤には池塘がいくつか点在するため、さいあくそれを濾過すれば飲めるかもしれませんが、あくまでも緊急時のみでしょう。というか中ノ岳も以前の丹後山もそうですが、飲み水の確保が最大の試練かもしれません。水場が期待できない以上、あの急登を担ぎ上げないといけませんからね。

ちなみに今回、あわよくば中ノ岳から丹後山に周回できたらいいなーなんて考えていましたが、そんな気持ちは早々に潰れてしまいました。一部の猛者たちは日帰りで平然とやってのけますが、私にはまだまだ鍛錬が足りなかったようです。体力的にも精神的にも天候的にも不安が先行して諦めた次第です。

紅葉についてはまだピークとは言えないものの8割くらい良い感じでした。とはいえすでに一部枯れ落ちている個体もあったためタイミング的にはなんとも言えません。大荒れしなければ翌週あたりがピークでしょう。今年はなんとなく色づきが良くて写真より全然綺麗でした。前日の雨の影響もあるかもしれませんが、彩度が高く美しかったです。今年の紅葉は当たり年かもしれませんね。

スケジュールなど

【日にち】2025年10月12日
【天候】曇りのち晴れ、微風、登頂時はガスガス
【気温】駐車場16℃、山小屋内10℃
【登山コース/時間】十字峡コースからピストン/6時間30分(上り:3時間40分、下り:2時間15分、休憩30分)/12.2km
【電波状況】三合目くらいから繋がるがイマイチ安定せず(docomo)
【紅葉】7,8割くらい

登山コース


※軽装備でファストハイク気味に登ったのでコースタイムを大きく巻いたとはいえ、普通に登っても一般的なコースタイムほど掛からないような気がします。急登が多いのでだいぶ甘く設定されている印象がありました。

5:15 十字峡登山口~一合目


登山口には30人程を収容できる十字峡登山センターがあり、仮眠室として無料で利用することができます。駐車場は10台くらい停められますし、少し離れた落合橋のたもとにも数台停めることができます。ハイシーズンでも越後駒ヶ岳や八海山のような混み方はしないと思いますが、台数が少ないので早めの到着が吉でしょう。

薄っすらと明るくなってきたところで登山届を書いて出発です。ウォーミングアップがてら歩く間もなく、初っ端からコンクリートで吹き付けられた急な階段を上り樹林帯を進みます。というかもうずっと急登です。したがってぐんぐんと高度が稼げます。そしてバテます。

5:35 一合目~二合目(千本松原)



時間的にはあっという間に一合目って感じですが、すでに疲労感がすごいです。一合目を過ぎてもなお急登が続きますが、この辺りで尾根に出るので視界が開けてきます。登山道は意外とゴツゴツした岩場が多いため足元には注意しましょう。写真にはありませんが周囲の山々が確認できました。

6:10 二合目(千本松原)~三合目




やや平坦な二合目に到着です。ここには相当の年数を経たキタゴヨウがあります。まだまだ中ノ岳は見えません。尾根にはなんとなく色づきが見られます。しばらく岩稜帯を歩きます。

6:30 三合目~四合目




三合目で先行組に追いつきました。今日は中ノ岳避難小屋に泊まるとのことで、皆さんそれ相応の荷物を背負っておられました。健脚です。ところで三合目には特に何もありませんが、もうしばらく岩稜帯を歩いた後、ブナの樹林帯に入ります。

6:45 四合目~五合目(日向山)



四合目はブナ林のなかです。ブナは薄っすらと黄色味を帯びていますがまだまだ緑色です。五合目の日向山に向けてさらに高度を上げていきます。

7:15 五合目(日向山)~六合目








急登を登り切ると五合目の日向山です。少し外れたところに雨量観測所もあります。視界がガツンと開けており、ここでようやく雄大な中ノ岳の山容が確認できます。写真でも伝わると思いますが手前の紅葉も相まってめちゃめちゃ綺麗です。

ここから六合目までは緩やかな登山道が続くため、ようやく心と身体を落ち着かせて進むことができます。数個の池塘に加え、生姜畑と言われる鉱山跡地を過ぎます。個人的にはこの辺りが中ノ岳のハイライトでした。とにかく美しいんですよ。

しばらくして振り返ると手前には日向山と雨量観測所、中央奥には巻機山がよく見えました。当日はだいぶ混んでいたものと思われます。

7:30 六合目~七合目(小天上)



気持ちの良い山歩きも束の間、七合目の小天上に向けて再び急登が始まります。奥には雲のなかに頂を隠した中ノ岳が不気味に待ち構えています。

7:50 七合目(小天上)~八合目



小ピークの七合目に到着です。さていよいよ眼前に中ノ岳が迫ってきました。こうやって見るとラストダンジョン感が半端ないです。ドラクエだったら確実にラスボスがいるところです。

誰が呼んだのかわかりませんが、中ノ岳の最後の急登は「変態急登」と呼ばれており、一歩登るたびに高度を上げていきます。なおこの先、登山道が一部崩落している箇所があります。滑り落ちる程ではありませんが、特に下山時は注意しましょう。

何度も何度も何度も足を止めながら進みます。横目には丹後山から続く美しい稜線が、反対側には八海山から続くいかにも険しい稜線が見えていました。加えて赤く色づいた斜面にダケカンバ?の白色が良いアクセントになっておりとても美しいです。疲れながらも楽しみたい瞬間です。

8:20 八合目~九合目(池ノ段)



なんだかんだしていると思いがけず八合目に到着です。ここまで来ればもう一息です。チシマザサに囲まれた登山道を一歩一歩登っていきますが、この辺ですっかりガスに覆われてしまい視界はゼロです。

8:40 九合目(池ノ段)~中ノ岳山頂




ということでようやく九合目の池ノ段に到着しました。右へ行くと小兎岳、兎岳、大水上山、丹後山へと続きますが、今回は体力的にも精神的にも天候的にも不安があったため諦めました。一部の猛者たちは余裕なんでしょうけどね、悔しいなあ。

ここから山頂までは思いのほか地味に時間を要しますが、特にキツくもないのでのんびりと歩を進めます。それにしても何も見えない!

8:55 中ノ岳山頂~中ノ岳避難小屋


人生2回目の中ノ岳に無事登頂です。荷物少ないくせにスーパーハードでした。中ノ岳は標高が頭一つ抜けているため、視界さえ良ければ360度の大パノラマが楽しめます。遠くには富士山を目視することもできます。少なくとも前回は見えていましたが今回ばかりは仕方がありませんね。

9:00 中ノ岳避難小屋




山頂から少し下ったところに綺麗に管理された中ノ岳避難小屋があります。2階建てで収容人数は50人程度、和式トイレもあるので助かります。宿泊自体は無料ですが「お気持ち」としていくらかお支払いするのが礼儀でしょう。水場の代わりに巨大なポリタンク内の天水が利用できるはずですが今回は未確認なので不明です。

避難小屋周辺はよく刈り払われておりテント場もあります。ここは八海山や越後駒ヶ岳にそれぞれへと続く分岐点でもあります。いずれもハードな稜線歩きが強いられるとのことで、刈り払いもしていないと書いてあった気がします。

9:30 中ノ岳避難小屋~十字峡登山口

室温は10℃なのでめちゃめちゃ寒いってほどはありませんが、汗をかいた状態でじっとしているとさすがに冷えてきます。コーヒーと軽食をとってさっさと下山開始です。

下山時には4組ほどすれ違いましたが、この時期にしてはかなり少なかったと思います。天気予報が前日までコロコロと変わっていたのでまあこんなものでしょうか。

ちなみに八合目付近で振り返ると、すっかりとガスが抜けて山頂がよく見えていました。すれ違った方々は一番良いタイミングで登られていたと思います。もう少し待てばよかったです。

11:45 十字峡登山口

ちょいちょい休みつつ、紅葉を眺めつつ、黙々と下ってきました。急斜面ばかりなので気を抜けませんが、何度か滑ってコケてしまいました。

ようやく駐車場に着き、ふと見上げると虫がたくさん飛んでいるのが見えました。トンボかなーなんて悠長に眺めていましたが、よくよく見ると全部カメムシでした。おびただしい量のカメムシが飛んでいます。いやいや飛んでいるばかりか、十字峡登山センターの壁にびっしりとくっついていました。

壁だけではありません。駐車してある我々の車にもたくさんくっついており、隙間という隙間に忍び込んでいるではありませんか。発狂モノですよこれは。写真撮ってもモザイクかけないといけないレベルです。疲れた身体にとどめを刺された気分でした。皆さんも冬眠前のこの時期は覚悟してね。おわり。